戦後の日本を象徴するスーパースターで、「ミスタープロ野球」と称された巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄(ながしま・しげお)さん=報知新聞社客員=が3日午前6時39分、肺炎のため都内の病院で死去した。89歳だった。

現役時代は王貞治とのON砲で巨人を不滅のV9へと導き、監督としても、1994年の「10・8決戦」など多くの名場面を演出して5度のリーグ優勝、2度の日本一に輝いたミスター。歴代の担当記者が、永遠の別れを悼んだ。

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 長嶋さんとお付き合いするようになって、何年になるか。最初に監督を辞めて、空白の12年間も含めて、50年近くになるかもしれない。1936年生まれのご本人も冗談で言っていたが、89歳、“ヤキュウ”まで生き抜いた。

 6月下旬に王貞治さんが、新しい野球組織についての記者会見を行うという話を耳にした。内容はわからないが、王さんは「なんとか野球の落ち込みを自分の力で取り戻したい」と強い決意で臨まれると聞いた。

 長嶋さんも日頃、「野球への興味がかなり低下している」と気にされていた。最近は入院が長く、ゆっくり話もできなかったが、この王さんの話をすると、「まさに自分が一番やりたい仕事だ。できることがあったら何でも言ってほしい」と言っていた。

 「ON」が再び、青少年野球で復活する段取りが作られたのだったが…。この夢が実現しなかったのは残念だ。

残る野球人で、長嶋さんの思いを継承してほしい。(1975~79年 巨人担当・古藤了三)

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