「日本生命セ・パ交流戦 2025」が3日、各地で開幕した。初戦のロッテ戦(ZOZO)が雨天中止となった巨人・阿部慎之助監督(46)は、巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄(ながしま・しげお)さん=報知新聞社客員=への感謝を述べるとともに“ミスター魂”を継承し今季、日本一の報告をすることを誓った。

チームはZOZOの室内練習場で調整。4日の試合に備えた。

 恩師の訃報(ふほう)に接して決意を新たにした。阿部監督は悲しみをこらえて前を向き、長嶋さんの熱い思いを受け継ぎ、強い巨人をつくることを誓った。

 「僕らは勝って、いい報告ができるようにするだけです。長嶋さんは『巨人軍は永久に不滅』と言っていましたけど、そうなれるようにやってきたいです」

 プロ1年目、2001年の監督が長嶋さん。開幕から正捕手として使い続けてもらったおかげで通算2132安打、406本塁打への道が開けた。監督として浅野ら若手を積極起用する原点には、自身の新人時代の経験がある。

 「我慢して使っていただいて僕をここまでにしていただいた。こういう立場(監督)になって我慢だったり辛抱がすごく大変だったろうなとも感じます。感謝しかないです」

 昨年の監督就任以来、長嶋さんが東京Dに激励に訪れて対面するたびにパワーをもらっていた。

 「すごく心強かったですし、ありがたかったです。

ドームにお越しの時は、いつもおしゃれなので僕が『おしゃれですね』と言うと大笑いしてくれて。すごく印象に残っています」

 試合前のベンチ裏のミーティングでは選手の前で訓示をもらうこともあった。

 「『絶対勝つんだ!』みたいなこともいつもおっしゃってくれてましたし、熱い気持ちを僕らに注入していただいた。いい伝統を継承していきたいですね」

 現役時代から指導者になった今まで、長嶋さんに教わったことや思い出は語り尽くせないほどある。

 「あまり難しいことは言われなかった。『パチンと打て!」とかね。そういうのはすごく印象に残っています。プライベートでも、脳梗塞(こうそく)から復帰してすぐくらいに、食事にも連れていってくれて。その時は僕と同じ量の肉を食べていたのですごいなと思って」

 この日はロッテ戦が雨天中止となり、ZOZOの室内練習場で練習。選手には「みんな、より一層、熱い気持ちを持ってやってください」と長嶋さんの教えを伝えて全員で胸に刻んだ。打撃練習では自ら投手を務めてリチャード、岸田に1時間以上、投げ続けるなど長嶋イズムで熱血指導した。

 「神様のような存在でしたし、誰もが認める野球人だったんじゃないかなと思います。

その一言に尽きます。私たちにできるのは勝利を届けることだけです」

 4日のロッテ戦(ZOZO)は喪章をつけて臨む。阿部監督の背番号「83」の「3」は、言わずと知れた永久欠番の長嶋さんの背番号。熱望されていた13年ぶりの日本一が最高の恩返しになる。(片岡 優帆)

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