◆日本生命セ・パ交流戦 2025 日本ハム0―1阪神(3日・エスコンF)

 阪神・藤川球児監督(44)は偉大な先人の志を胸に、采配を振るった。「中身が濃いし、非常に難しいゲームをみんなで取れました。

よく大山のホームラン一本を守り切ったと思います」。1―0の完封で今季2度目の4連勝とし、貯金も同最多の11。一緒にタテジマに袖を通した新庄監督率いる、日本ハムとの首位対決の初戦を制した。

 巨人・長嶋茂雄終身名誉監督の訃報に、日本が深い悲しみに包まれた一日。エスコンに半旗が掲げられ、試合前には黙とうをささげた。ゲームを決めたのは、長嶋さんの代名詞である背番号「3」を虎でまとう大山だった。6回先頭で、バックスクリーン下へ先制3号ソロ。「自分のスイングができた」。投げてはエースの才木が8回無失点。球団2年ぶり、最長タイとなる3試合連続完封に導いた。

 巨人ファンだった球児監督にとって、長嶋さんは憧れだ。「私の世代は、長嶋監督。

野球を始めたきっかけ」。接点は多くなかったが、12年11月の報知新聞社制定ゴールデンスピリット賞の表彰式で対面。メジャー移籍を目指した時期に去就を気にかけてもらった。「太陽のような存在である長嶋さん率いる巨人に、タイガースとして必死になって向かっていく姿を、私も(プロ入りした)18歳から教わった」。伝統の一戦への情熱も、ミスターなくしてあり得ない。

 「長嶋さんは今で言うと、大谷選手のような役割をNPBの中でされた。残された志を大切にしながら、12球団で頑張っていきたい」。

 野球人口の減少を危惧する一人として、プロ野球をどう受け継いで次世代につなげていくか。青年監督は決意新たにグラウンドに立っている。(小松 真也)

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