元巨人の柴田勲氏が6日、3日に逝去した長嶋茂雄終身名誉監督の自宅を3日連続で弔問した。V9に貢献した現役時代から慕ってきたミスターと連日対面し「毎日来なきゃね。

俺の兄貴みたいなもんだから。野球選手の中で一番いろんな事で親しくさせてもらったから。俺と土井の正ちゃん(正三)ね。(対面した長嶋さんが)毎日来いって言うから毎日きてますよ」と、6分30秒にわたって思いを語った。

 懐かしそうに振り返ったのは長嶋さんが引退時の秘話。73年、当時の川上哲治監督から柴田氏と王貞治氏が監督室に呼ばれ「長嶋が来年から監督やるから。長嶋も了解してるから、お前ら2人、力を合わせて長嶋に協力してやってくれ」と説明された。その直後、柴田氏は「もしやめられるならグラブいただけますか?」と長嶋さんに頼んだという。

 引退は1年先延ばしとなった。翌74年の引退セレモニー。ロッカーに座っていた柴田氏の元へ長嶋さんが歩いてきたという。「『おい、柴田!約束のもんだからな!』ってポンって(グラブを)くれたのよ。

だから1年半ぐらい覚えてくれてたのよ。これは柴田に約束してた物だからあげなきゃって。そしたら土井が悔しがって(笑)『なんだ勲がもらったのか!俺が欲しかった』って(笑)それ以降も本当にかわいがってもらいましたよ」。長嶋さんの最後のグラブを宝物として大事に保管している。

 引退後も交友は続き、1年に15回以上ゴルフをともにしたこともあったという。「前の日の夜に電話かかってきて『これから行くんですか?』『そうだ、これから行くんだ』って。『どこ行くんすか?』『箱根だ!』とか言ってさ。『わかりました、すぐ出ます』とか言って。そんな感じでした」と感慨にふけった。この日は約50分、長嶋さんと対面し「病気されてからはなかなか会う機会もなかった。もう最後ぐらいは毎日、来てるんだ」と語った。

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