◆日本生命セ・パ交流戦 2025 広島8―4ソフトバンク(18日・マツダスタジアム)
広島の頼れる助っ人は打席内で自身が放った打球に見とれ、ベンチはお祭り騒ぎだ。2点ビハインドの6回1死満塁、サンドロ・ファビアン外野手(27)が劇的な7号逆転グランドスラム。
“エスコンの悲劇”を払しょくする、今季最大の4点差逆転劇の主役だ。15日の日本ハム戦で、チームは7点差をひっくり返されて悪夢の延長10回サヨナラ負け。献身的なファビアンは今季6度目の猛打賞を決めながら「勝てないと悔しい」と繰り返した。来日初、米国時代を含めてもプロ生活3本目という劇弾で、たまっていた鬱憤(うっぷん)を晴らした。
お立ち台では「カープファンノミナサン、スキジャケ」と、教わったばかりの広島弁でシャウトした。日本語に親しみ、常に周囲のアドバイスを受け入れる柔軟性が、打率リーグ2位の好成績を生む。「打撃コーチから『状態のいい打者を前に』というリクエストがあった」(新井監督)という、来日後初めての2番起用にも応えた。
チームは連敗を3で止めて5月3日以来の借金生活を回避し、再び貯金1。2年連続の勝ち越しに向け、残り4試合となった交流戦も勝率5割に復帰した。「これでチームの雰囲気が変わると思う」。来日2号以降、本塁打を放った試合は6戦6勝。本格化した勝負強さで、これからもチームを勝利に導く。(畑中 祐司)