加藤学園は米山学監督(47)の長男、慶内野手(3年)が副主将を務める。入学前から抱いていた「父を甲子園に連れて行きたい」という目標へのラストチャンス。

父子鷹で、同校にとって初となる夏の甲子園切符をつかみ取る。

 2020年、チームは初のセンバツ出場を決めた。だが、コロナ禍で大会中止。慶は父の悔しさを間近で見ていた。中学2年の時、加藤学園への進学を伝えた。米山監督は「驚いた」と振り返った。息子に「厳しいぞ」と念押ししたが、意思は固かった。もちろん特別扱いはなし。自宅は学校や練習場から近いが、寮生活を勧め、チームメートとの時間を大事にさせた。

 入学後は堅守と走塁が特長の「父がこだわってきた野球」を体感した。正確な送球が評価され、1年秋にベンチ入り。送球の基礎は中学時代の夏休みなどに、野球部指導で忙しい父が時間を見つけて相手をしてくれたキャッチボールなどで積み重ねられたものだった。

 新チームではレギュラーに名を連ね、昨秋は二塁、今春は「3番・遊撃」で出場した。昨秋に県予選1回戦で敗退し、3連覇が懸かっていた今春は3回戦で姿を消した。ただ、夏に向けて早くスタートを切ったと前向きに捉えている。「評価された守備で貢献できたら」。先頭を切って、父が目指す戦いをグラウンドで表現する。

(伊藤 明日香)

 ◆県内野球部での最近の「父子鷹の夏」 22年は当時、磐田東で監督だった山本幸司氏と長男・翔己投手が2回戦進出。21年は知徳の初鹿文彦監督、長男・泰聖投手が4回戦まで勝ち進んだ。20年は当時静岡商の監督だった高田晋松氏と琢登投手(現オイシックス)、16年は当時、常葉橘(現常葉大橘)の監督だった小林正具氏と宗弘外野手が甲子園に向けて戦った。

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