◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人2―1西武(20日・東京ドーム)

 打線が対応力で少ないチャンスを生かした。この試合、打順の1巡目は全員が初球ストライク(見逃し6人、ファウル3人)を奪われていた。

もちろん得点力に苦しむ打線が対戦経験の少ないパ・リーグの投手を相手に慎重になりがちなのは分かるが、受け身になり攻撃的にゾーン内で攻められていた。1ストライクから打席が始まればやはり、苦しくなる。

 だが、2巡目に入って対応した。4回無死一塁から吉川が初球を二塁打。増田陸が1ボールから左犠飛、中山も初球を右前安打と、いずれもファーストストライク、しかも高めに浮いた球を捉えた。6回も2死からオコエ、小林がそれぞれ初球の甘く入った変化球を打ち、勝ち越した。

 打撃で最も大切なのは「打てる確率が高い球を受け身にならずに振りにいく」こと。つまりその時の状況、投手の特徴を見て「どのゾーンの球をどの方向に打つか」を整理して打席に入ることが必要になる。

 その点で言うと増田陸は打席内で“殺気”のような雰囲気を感じる。2回の第1打席。初球をファウル、2球目で遊ゴロ併殺打になったが、いずれも高めの直球。“可能性”のある球をスイングした。

見ていて期待が持てるのは、そういう根拠がある。(野球評論家・清水 隆行)

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