◆米大リーグ ロッキーズ7―9ドジャース(24日、米コロラド州デンバー=クアーズ・フィールド)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が24日(日本時間25日)の敵地・ロッキーズ戦で2試合連続本塁打となる27号2ランを放ち、日米通算300本塁打に到達した。3点リードの6回無死一塁で、2番手左腕・ロリソンから左翼席に運んだ。
節目の一発は、大谷らしく逆方向へ放り込んだ。3点リードの6回無死一塁。左腕ロリソンの内寄り149キロ直球をバットに乗せた。会心の当たりではなかったが、丸太のような二の腕と鋭い回転、そして標高約1600メートルで打球が飛びやすいクアーズフィールドの魔力に押し込まれ、打球は左翼最前列にいた女性ファンのグラブに吸い込まれた。
日米13年目で到達した節目の通算300号。22日(同23日)には「なかなか自分のアプローチの打席を送れなかった」と口にしていたが、好調のバロメーターでもある逆方向への強い打球で決めた。左翼、左中間へのアーチは日米合わせて75本目。ベイツ打撃コーチは「サイズとパワーがあり、ボールをしっかりバットで捉える技術がある。だから逆方向にも打てて、完璧な当たりでなくてもフェンスを越える」と感心する。右翼への特大弾も魅力だが、同じように逆方向へまるで引っ張ったような打球を打てるパワーと技術があったからこそ、300本を積み重ねてこられた。
二刀流として復帰し、勢いに乗ってきた。22日のナショナルズ戦では1回を無安打無失点に抑えると、5打席目に26号の“リアル二刀流弾”を放った。復帰後まだ2登板だが、前回の中5日の登板間は、本塁打なしの19打数2安打と苦戦。2死球を食らったこともあり、体への負担が増していることは確かだが、二刀流のリズム、感覚は少しずつ戻ってきている。
大谷は投打両方で結果を出すことに「自分の強みを発揮できる」と話したことがある。投げるだけ、打つだけでも一流。投打どちらかに専念するべきという声も上がる中、二刀流を貫いてきた。今回の投手復帰直前には「2つ同時にやっていくのが通常のスタイル。復帰したら復帰したで、逆にそれが今まで通りだなと思って入ればいい」と言い切った。打者に専念したのは19年と24年。その2年を除く228本は二刀流として稼働した年で放ったものだ。
エンゼルス時代の23年6月23日に放った日米200号に続き、「打者天国」のクアーズフィールドで節目に到達。
21年の46発から安定して本塁打を量産し、23、24年は2年連続本塁打王に輝いた。今季もリーグトップを快走中の大谷にとって、300号は通過点。唯一の二刀流であると同時に、至高のスラッガーとして、魅惑の放物線を描き続けていく。(安藤 宏太)