巨人・泉口友汰内野手(26)が25日、スポーツ報知のインタビューに応じた。2年目の今季は開幕2軍スタートから遊撃の定位置をつかみ、打率2割9分1厘、出塁率3割5分1厘はチームトップとブレイク中だ。
泉口はヤングジャイアンツの象徴的存在となった。一時打率リーグトップに立つなど遊撃のレギュラーに定着。得点圏打率3割1分9厘の勝負強い打撃と安定した守備で巨人を支えているが、慢心はない。
「本当に必死にやってるだけです。打つ方も『自分が決める』とかじゃなくて、後ろにつなぐっていう意識だけで。まだ途中ですし、数字はシーズンが終了した時についてくるものだと思っています」
大阪桐蔭では3年春にセンバツV、青学大で主将を務め、NTT西日本でも入社直後に遊撃のレギュラーをつかんだ。華々しいエリート街道を進んできたように見える一方で、根底にあるのは「雑草魂」だった。
「高校は大阪桐蔭でやってましたけど、自分たちの代は僕も含めて全然、力がなくて。(1学年)下の藤原(ロッテ)とか根尾(中日)とかがたくさん試合に出ていた。名門でやらしてもらっていただけで、自分自身がすごいとは全然思ったことがないんですよね。
今季初スタメンだった4月9日のDeNA戦(横浜)で今季1号を放ち、定位置を奪取。岡本から譲り受けたバットを、短く持つ打撃スタイルで開眼した。
「(ターニングポイントは)開幕前2軍に落ちたことですね。このままじゃダメだなと。ファームに行ってもしっかり頑張ろうっていう気持ちになれた」
昨オフは岡本、吉川の合同自主トレに参加。主砲の鬼気迫る姿が目に焼き付いている。
「和真さんはああいう(闘志を内に秘めるタイプの)方で、野球に対しては本当に真剣。トレーニングで『ちょっと妥協してもいいんじゃないですか?』というぐらいキツい時でも、しっかりやられていたのを間近で見させてもらった。やっぱり結果を出すためにはやらないとダメなんだなって思いましたね」
二遊間を組む吉川は憧れの存在だった。自身が遊撃一筋だったアマ時代から「ハンドリング、イレギュラーへの対応、全てがすごい」と見本にしてきた。
「最初は緊張もありましたけど、2人は僕がやりやすいようにたくさん話しかけてくれたので今の関係性があると思います」
21日の西武戦(東京D)では2打席目からノーステップ打法に変更し、下手投げの与座から左前打。レジェンドの教えを生かし、試合の中で柔軟に対応したという。
「試合前に勇人さんがアドバイスしてくれて。アンダースローのタイミングがとりづらい投手だったので。勇人さんはよく助言を頂けて本当にありがたいです」
離脱中だが一塁の岡本、二塁・吉川、三塁・坂本と球界を代表する野手3人に囲まれ、日々成長を続けてきたブレイクイヤー。レギュラーとしてV2に貢献することを目指し、残りのシーズンを駆け抜ける覚悟を口にした。
「状況に応じて考えることはたくさんありますけど、根本は本当に後ろにつなぐっていうことだけ。優勝できるように、そのピースになれるように頑張ります」
◆泉口 友汰(いずぐち・ゆうた)1999年5月17日、和歌山・御坊市生まれ。26歳。河南中時代は和歌山日高ボーイズでプレー。大阪桐蔭では3年春夏に甲子園に出場し、3年春に全国制覇。青学大では4年秋にベストナイン。NTT西日本から23年ドラフト4位で巨人入団。1年目の昨季は66試合出場で打率2割1厘。
◆取材後記 昨年1月3日、和歌山・御坊市で行われた「和歌山日高ボーイズ」の激励会で泉口を初めて取材した。約1週間後にG球場で再会すると「この前は取材に来ていただいて本当にありがとうございました」と丁寧に頭を下げてくれた。当日は寮で新人選手に向けた「メディア対応研修」が予定されており、思わず「もう完璧ですね」と返したことを覚えている。
インタビューで大阪桐蔭時代に学んだことを聞くと「西谷先生に『人間力を磨かないといけない』と言われ続けて。これからの人生でずっと心にある言葉だなと大切にしてます。スリッパを並べるとかもつながってくるかもしれない」と、真っすぐなまなざしで語った。10年間貫き続けた真摯(しんし)な姿勢が、助言をくれる先輩たちに届いているのだろう。(巨人野手担当・内田 拓希)