昨季最下位の西武が大健闘している。1年前の交流戦終了時は19勝44敗で首位と23・5ゲーム差の6位だったが、今季はここまで37勝31敗の同3・5差と好位置をキープ。

今季から指揮を執る西口文也監督(52)が26日、スポーツ報知の取材に応じ、ここまでの戦いぶりを振り返り、躍進を支えるフレッシュな面々の成長や持ち味を語った。(取材・構成=大中 彩未)

 なぜ1年でここまで変わったのか。今季は打率こそ2割3分8厘で大幅な向上とは言えないが、失策はリーグ最少の27、防御率は同2位の2・39と、西口監督の掲げる「守り勝つ野球」で僅差の試合を制し白星を積み重ねてきた。

 等身大の指揮官が作り出すフランクな雰囲気が、選手たちがのびのびとプレーできる環境につながっている。22年から昨季までの3年間、2軍監督を務めた西口監督。1軍監督になった今も、選手との接し方や距離感は変わらない。2軍監督時代から指揮官を知る山村も「全然変わらない。やりやすいっす」と感謝の意を述べる。現役通算182勝を挙げた名投手だが、威張ることはない。「打撃のことに関しては、もう全く分からないんで」と打撃練習は仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチに全任せ。「僕はもう仁志さんの邪魔にならないようにケージの後ろで選手と雑談するだけ」と笑う。

 昨季は交流戦までの45試合を終え、15勝30敗で最下位に沈み、松井監督が休養。

渡辺GMが監督代行として指揮を執り、4勝14敗と失速に拍車をかけた交流戦を、今季は10勝8敗で終えた。指揮官が「鍵」に挙げたのは、前カードの広島戦(マツダ)で3タテを食らい、迎えた10日からの阪神戦(ベルーナD)。「1戦目の8回裏に4点取って逆転。2戦目は9回裏にサヨナラ勝ち。今までチームにはなかったような粘りを見せてくれてもぎ取ったあの2つの勝利っていうのは非常に大きかった」。勢いに乗ったチームはセ・リーグ首位の阪神を相手に同一カード3連勝。息を吹き返した。

 27日からはリーグが再開。「1つでも上を目指して、チーム一丸となって頑張っていきます」。新生・西武は、ここからさらに加速する。

 ◆西口 文也(にしぐち・ふみや)1972年9月26日、和歌山県生まれ。52歳。

県和歌山商から立正大へ進み、94年ドラフト3位で西武入団。96年から7年連続で2ケタ勝利を記録し、97、98年には最多勝を獲得してリーグ連覇に貢献。沢村賞1度。現役時代には3度の“ノーヒットノーラン未遂”もあった。通算436登板で182勝118敗6セーブ、防御率3・73。右投右打。

編集部おすすめ