第107回全国高校野球選手権大会(8月5日から18日間・甲子園)の出場校を決める地方大会は、近畿地区でも29日開幕の兵庫からスタートする。スポーツ報知では「球児の万博」と題し、近畿の注目校、注目選手を「WEST Hochi」で随時紹介。
兵庫屈指の県立進学校に最速143キロの右腕がいる。今春の県大会。姫路西のエース・佐野は、全3試合完投で初の8強に導いた。準々決勝では、秋春の近畿大会を制した東洋大姫路に8回8安打5失点で完封負けし、「直球の質を強くしたい」と、夏への課題を挙げた。
中学時代はMAX132キロで私立の強豪校からもスカウトが来た。それでも、「兄も姉も通っていたから」と両親の勧めもあり、進学した。同校は今春、京大に13人が現役合格した。勉強との両立が求められる中で、平日は約2時間の基礎練習に励み、土、日は練習試合で実戦感覚を養う。多忙な中で、毎日3時間の自主学習も欠かさず取り組んでいる。「食事も応援も、親が支えてくれなかったら、野球に打ち込めていない」と、感謝を忘れない。
兄に続いて野球を始め、小学生時代はテニスボールでも野球をしていた。
50期生で野球部OBの萩原光則監督(45)は「佐野は、うちでは珍しく上(大学)でも野球を続けたい子」と目を見張る。佐野は「最初は理系でいこうかと思ったが、大学でも野球がしたい」と、負担が少ない文系への転向を決意した。
16校ある第1シードとして、7月12日の初戦(2回戦)で飾磨工と加古川東の勝者と対戦する。3番打者を担う右腕は「もう1つ上(4強)に行けたら」と、集大成を飾る意気込みだ。(松ケ下 純平)
◆佐野 達哉(さの・たつや)2008年1月2日、兵庫・姫路市生まれ。17歳。城西小4年から軟式の城西ブルーサンダースで野球を始め、琴陵中では軟式野球部。姫路西では1年夏からベンチ入りし、2年秋から背番号1。180センチ、81キロ。右投右打。