◆JERA セ・リーグ 巨人4―0DeNA(27日・東京ドーム)
巨人がリーグ再開初戦を白星で飾り、2位に浮上した。先発の山崎伊織投手(26)は7回途中4安打無失点でリーグトップタイの7勝目。
目をギラつかせながら、山崎が甲斐のサインにうなずいた。1―0の7回1死一、二塁。梶原を2球で追い込むと、力強い高め直球で3球三振に仕留めた。
「すごい気合入ってましたし、まずここで勝たないと始まらないと思うので、本当に勝ててよかった」
1死から2者連続四球を与えると思わず膝に両手をついた。それでもすぐさま顔を上げ、マウンドに来た杉内投手チーフコーチから鼓舞されて気持ちを入れ直した。梶原を抑えた直後、イニング途中で交代を告げられたが悔しさを押し殺しながらベンチで声を出し続けた。田中瑛、中川とつないでこの回を無失点に抑えるとようやく笑みがこぼれた。
リーグ戦再開初戦を任され6回2/3、104球を投げて4安打無失点でリーグトップタイの7勝目。リーグトップの防御率は1・24に向上した。主に、水、木曜日の登板を続けていたが、好調さを買われ今季初のカード初戦を任された意地を見せた。「変化球が思ったように操れなかった。カットボールが得意な中で、今日は思った軌道ではなくて浮いていた」と万全とは言えない状態だったが、最速151キロを計測した直球を軸に4奪三振。3、5回以外は走者を背負ったが先頭だけは出塁を許さなかった。DeNA戦はこれで23年から7連勝。今季は3戦3勝で防御率0・00とキラーぶりは健在だ。
抜群の安定感でチームを支える山崎のささやかな楽しみは、自宅近くのカフェでコーヒーを飲むことだ。「いつも店員さんが『伊織さ~ん』って呼んでくれる。そこのカフェラテが大好きやねん」と多い時には週5回ほど通う。「店員さんに『何されている方なんですか?』って聞かれてるけど『それは言えません』って秘密にしてきた」と正体を明かさずに半年間通い続けてきた。
そして、ついにプロ野球選手であることがバレた。でも内心は少しうれしかったのだろう。「この前、たまたまテレビのニュースで出てきて『うわ! 店に来る人や!』ってなったらしい(笑)」と笑顔で話した。巨人のエース格としてマウンドに立ち続けるその存在感は、野球を知らない人にも広まり始めたのかもしれない。
チームの連敗も2で止めて5割復帰。2位に浮上した。「最後ああいう形(イニング途中で)でマウンドを降りてしまいましたが、チームが勝てたので次、頑張りたい」。72試合を終えたペナントレースはまだ折り返し地点。さらに上を目指し、チームのために腕を振る。(水上 智恵)