◆卓球 ◇WTTチャンピオンズ横浜 第2日(8日、横浜BUNTAI)

 男女シングルス1回戦が行われ、女子は世界ランク11位の橋本帆乃香(27)=デンソー=が同12位の鄭怡静(台湾)を3―0で下し、対海外選手の連勝を41に伸ばした。28年ロサンゼルス五輪を見据え、4月に所属先や練習環境を一新。

世界ランク急上昇のカットマンが2回戦で世界1位の孫穎莎(そん・えいさ)=中国=に挑む。同6位の張本美和(17)=木下グループ=、9位の大藤沙月(21)=ミキハウス=も勝ち上がった。

 橋本が台湾のエース・鄭を圧倒した。コースや回転を変えた鋭いカットで相手の間合いでフォアドライブを打たせず、要所で攻撃に転じた。出足から10連続得点でたたみかけ、第3ゲーム(G)は10―5から追い上げられたが、冷静にタイムアウトを取って嫌な流れを切り、ストレート勝ち。「自分のやるべきことを最後まで迷わずにプレーできた」と胸を張った。

 WTTチャンピオンズは初出場だ。時差12時間のブラジルで国際大会を戦い、6日朝に帰国したばかり。本会場での練習ができず、前日は時差ぼけで「夜中に目が覚めて寝られなくて。びっくりするぐらい体調が悪くて大丈夫かなと思った」と苦笑したが、ホームの声援を力に変えて躍動した。

 27歳は今春、大きな決断を下した。「引退するまでに後悔なく卓球人生を送りたいと思った」。

28年ロス五輪に向けて環境を変えて挑戦することを決め、名門のミキハウスを退社し、実業団のデンソーに移籍。国際大会で一人で行動する機会が増えたことで自覚が深まり、練習も局面を切り取って反復するなど工夫した。1月時点で31位だった世界ランクは「正直、自分でもここまで急激に上がるのはびっくり」と自己最高の11位まで急浮上し、早田ひなを抜いて日本勢4番手に位置するプレーヤーになった。

 7月のUSスマッシュで当時世界4位の王芸迪(中国)に衝撃のストレート勝ちを収めるなど、24年から海外選手には41連勝中だ。2回戦は世界1位の孫穎莎と激突。「自分が持ってるものがどれだけ通用するのか楽しみ。カットマンにしかできない戦い方を見せたい」。トップ選手では希少なカット主戦型。その誇りも胸に、横浜で高みを目指す。(林 直史)

 ◆橋本 帆乃香(はしもと・ほのか)1998年7月5日、名古屋市生まれ。27歳。5歳で卓球を始め、大阪・四天王寺高、ミキハウスを経て、25年4月からデンソー所属。

佐藤瞳との女子ダブルスで19年世界選手権個人戦銅メダル、24年WTTファイナルズ福岡V。元気の源はさつまいもと甘いもの。右シェークカット主戦型。163センチ。

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