◆陸上 実業団・学生対抗(9日、神奈川・レモンガススタジアム平塚)

 女子100メートル障害決勝で、昨年のパリ五輪代表の福部真子(日本建設工業)は、12秒74(追い風1・1メートル)で、9月の世界陸上の参加標準記録(12秒73)には届かず2位にとどまった。

 ゴール後、座り込んで両手を合わせて天に祈ったが、無情にもわずかの差で突破出来なかった。

同大会は、昨年、日本記録(12秒69)を樹立し、パリ五輪代表を引き寄せたゲンのいい大会。“思い出の地”で記録突破を目指したが、悔しさにまみれた。福部は「世界に向けてチャレンジするラストにしようかなと思って挑んでいたんですが、正直、標準を狙える体の状態ではないことは分かっていて。気持ちは標準を切りたい、世界とこれからも戦っていきたい。でも、なかなか体がついてこないというか、膝も痛いし、アキレス腱も痛いし、熱も出るし、トリプルパンチすぎて、気持ちは何回も立て直してきたけど体がどんどん壊れていくのをかんじざる負えない状態で今日を迎えていた。練習できないなかでこのタイムが出るので菊池病にならなければ」と悔し涙を流した。

 福部は昨年12月に、原因不明の高熱が出る「菊池病」と診断されたことを公表した。今季は5月18日のセイコー・ゴールデングランプリ(東京)でシーズンインし、13秒12(追い風0・7メートル)で7位。同月のアジア選手権(韓国)は「体調不良」のため出場を辞退していたが、7月の日本選手権は3位。その後も37度の高熱が続くなど思うような練習が積めず状態を上げきれなかった。「菊池病になってから自分の納得いく練習、練習というか運動…。熱が出たらお風呂もつかれないし、今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなって。

普通でいいのになって。このなかで去年、一生懸命に体をつくって、練習を何回もしてやっと出せていた7台だったり、6台っていうところが、運動のような練習にも値しない中でハイアベレージで走れていることが苦しいというか、練習さえできていれば5台で走れているのかなと思うと、走れば、走るほど悔しい」と声を絞り出すように話した。

 参加標準記録突破の期間(24日まで)はあとわずか。今後出場する大会については「コーチと話して」と話すにとどめた。

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