◆卓球 ◇WTTチャンピオンズ横浜 第3日(9日、横浜BUNTAI)

 シングルス2回戦が行われ、男子で世界ランク4位のエース・張本智和(22)=トヨタ自動車=が同15位のアントン・シェルベリ(スウェーデン)を3―0で退け、8強入りした。昨夏のパリ五輪の男子団体準決勝の最終試合、勝てばメダルが決まる大一番で逆転負けを喫した因縁の相手に雪辱。

女子の大藤沙月(21)=ミキハウス=は相手選手の棄権により不戦勝で準々決勝に進んだ。

 最後まで強気の姿勢を貫いた。第3ゲーム、張本智は13―12のマッチポイントで相手の返球がオーバーして勝利を確信。両手を広げ「チョレイ!」と3度、叫んだ。昨夏のパリ五輪で逆転負けした因縁のシェルベリに雪辱。観客席には所属先のトヨタ自動車の同僚の姿があった。ラケットと左手で「トヨタ」の「T」の文字をつくって感謝した。「勝ち切れた。自信になる」と胸を張った。

 苦い記憶だ。五輪メダルを懸けたスウェーデンとの男子団体準決勝。2―2の第5試合でシェルベリと激突。

先に2ゲームを取りながら第3ゲームを落とし大逆転負けで膝から崩れ落ちた。「死ぬまで忘れない」と胸に刻んだ屈辱的な敗戦から1年。この日も出だしから多彩な技術で翻弄(ほんろう)し、2ゲームを連取した。第3ゲームは8―4から開き直った相手のサーブに押され、3連続失点。当時の悪夢も頭をよぎったが、「五輪と同じで、相手に思い切られた中で(勢いを)抑えられた」。10―10で強気にフォアを打ち抜いた。これが勝利への道となり、14―12で振り切った。チケット完売、約3500人のファンの前で雪辱した。

 28年ロス五輪は「絶対にメダル」と宣言する。5月の世界卓球個人戦は2種目でメダルに届かず不完全燃焼。ここでも「負けた後は何もない」と失意を味わったが、日本協会の宮崎義仁専務理事の「休むことも練習」との言葉に救われ、今大会へギアが入った。

 22年以来3年ぶりVへ、10日の準々決勝では世界ランク9位の向鵬(中国)と激突。

「負けるより勝つ方がいいが、パリの結果は変わらない。これを契機に勝ち上がれれば、報われる」。第一関門を突破したエースが頂点へ突き進む。(宮下 京香)

 ◆張本智のパリ五輪 メダルが有力視された早田ひなとの混合ダブルスで北朝鮮ペアに1回戦敗退。男子シングルスは準々決勝で樊振東(中国)に3―4で惜敗した。最終種目の男子団体は準決勝でスウェーデンと対戦。第2試合でモーレゴードに勝利したが、2勝2敗の第5試合でシェルベリに2―3で逆転負け。3位決定戦もフランスに敗れ、メダルを逃した。

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