大相撲の横綱・豊昇龍(立浪)、幕内・王鵬(大嶽)の同期が福岡・糸島市の地域活性に挑んでいる。今年3月の春場所限りで現役を引退した元三段目・千代北海の田中壮太さんだ。
現役時代から交流のあった荻田商業建築デザイン事務所(本社・福岡市)で営業職を始めた。「福岡が好きで、現役時代から人と話すのが好きだった。営業もそうだし、観光業を手がけていることに惹かれた」のが理由だ。力士として培った大きな体に加え、しこ名の「千代」は千代の富士(元横綱、故人)の妻・久美子さんが福岡市出身だったこともあり、歓迎してもらえるという。
同社は糸島市に「糸島キッチンパレット」という芥屋の海を目の前に、キッチンカーと売店が集う観光施設を作った。同市はNHK連続テレビ小説の「おむすび」で話題になったこともあり「キッチンパレットを通じて糸島を多くの人に知ってもらいたい」。旅行会社ともタイアップ。元力士のおもてなしを全面に打ち出し、全国から観光客を招く。
同期の豊昇龍、王鵬は今では角界を引っ張る存在になった。「豊昇龍関にはお前は辞めちゃダメだ」と言われたが、ここ数年は番付が序二段だったこととから「限界を感じた」という。ちょうど結婚を考え始め、30歳となったことで引退を決めた。
今では「周りから営業職が向いていると言われていた。体力の自信はあるし、楽しんで仕事できている」と胸を張る。社交性があり、大相撲時代から多くの力士や協会関係者と交流を持ってきた。「キッチンパレットを全国的に有名な観光地にしたい」とセカンドキャリアの目標に掲げた。
◇田中 壮太(たなか・そうた)現役時代のしこ名は千代北海。1995年10月19日、札幌市生まれ。北海高ではバスケ、北海学園大ではアメフトを経験。18年初場所が初土俵。最高位は三段目39枚目。今年春場所限りで引退。家族は妻と長男。