◆第107回全国高校野球選手権大会第6日 ▽2回戦 高川学園8―5未来富山(11日・甲子園)

 おかしい。こんなはずじゃない。

最速145キロを誇る未来富山のプロ注目左腕・江藤蓮(3年)が初戦で散った。6回途中を11安打8失点と打ち返された。「甲子園という舞台でエースとして投げさせていただいたが、全国で力が通用しないと痛感した。まだまだだなと感じました」。潔く敗戦を認めた。涙はなかった。

 本調子とはほど遠かった。「体が重く、思うように動かないのが続いていました」。それでも直球は144キロを計測。フォークを落とし、相手打線に立ち向かった。2018年に開校した通信制の私立高。全校生徒25人中、23人がアスリートコースで学ぶ野球部員だ。

悔しい敗戦にも「チームメートが助けてくれたからこそ、甲子園に上り詰めることができた」と仲間への感謝を口にした。

 ネット裏ではスカウト陣が熱視線を送った。巨人・榑松スカウトディレクターは「初回の投球は目を見張るものがあった。馬力がある」と評価し、ヤクルトの橿渕スカウトグループデスクは「投打に才能がある。野球センスがある」と賛辞を惜しまなかった。

 進路について江藤は「甲子園まではプロ1本で来たんですが、今からもう1度考えたい。このままじゃ上で通用しない」と熟考する構えを見せた。「甲子園の大舞台で投げられて、楽しかった」と左腕。悔しさは必ず、さらなる成長の糧にする。(加藤 弘士)

 ◆江藤 蓮(えとう・れん)2007年5月19日、長野・須坂市生まれ。18歳。小2から野球を始め、小4から豊野アップルズ、常盤中では千曲ボーイズに所属。

未来富山では1年春から背番号18でベンチ入り。1年秋からエースナンバー。今年4月には高校日本代表候補の強化合宿に招集された。180センチ、84キロ。左投左打。

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