◆JERAセ・リーグ 広島0―2阪神(13日・マツダスタジアム)
命に関わっていたかもしれない。決して大げさな表現ではなく、石井のリハビリに携わった球団スタッフは「運が良かったとしか言いようがない」と話す。
6月6日のオリックス戦(甲子園)でライナーの打球が右側頭部を直撃。救急搬送された右腕は直後から頭痛や吐き気に襲われ、日常生活に戻るまで約1週間を要した。2軍施設でリハビリを始めたのは17日。その頃には少しずつ強度を上げられる状態になった。
首脳陣は復帰を早くても球宴明け、また状態次第では後ろ倒しする覚悟を決めていたと聞く。だが、チームに欠かせない“無失点男”は、7月1日の巨人戦(甲子園)で1軍復帰した。なぜ、ここまで早く戦列に戻ってこられたのか。
「一日も早く復帰したい石井と慎重な球団側と何回も話し合いを重ねながら進めたけど、石井は冷静だった。はやる気持ちを抑え、自分の現状を把握した上で前に進もうとしていた。だから、最善を尽くせた」と同スタッフ。想像を超える早期の復活劇は、右腕が引き寄せた「奇跡」だった。