中日・中田翔内野手が15日、バンテリンドームで記者会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。18年目の今季は5月中旬に腰痛で離脱。

8月7日に1軍に復帰したものの、12日に再び出場選手登録を抹消された。大阪桐蔭1年の夏から注目を浴び、プロ通算1783試合で打率2割4分8厘、1579安打、309本塁打、1087打点。3度の打点王と5度のベストナインに輝いたスラッガーは、悩まされてきた腰の痛みが限界を迎えた。

 以下は会見の一問一答

 ―引退を決めた時期と理由。

 「1か月前くらいですかね。腰の状態も良くなくて、自分自身が満足いくスイングができないようになっていると感じてきて。これ以上はチームに迷惑をかけられないと思って決断しました」

 ―18年のプロ生活。

 「日本ハムに中田翔という選手を育ててもらいました。ジャイアンツ、ドラゴンズにもお世話になりましたし、3球団とも大好きなチーム。そのユニホームを着られて幸せだったと思います」

 ―近年はけがとの戦い。

 「去年は体重もここまで落として。野球をやりたいという思いは強かったですけど。

何と言えばいいか分からないけど、自分自身でどうしようもできない状況でした」

 ―悔いが残っていることは。

 「本当にプロ18年、はっきりいってうまくいかないことの方が多かったかもしれないです。そういう厳しい世界だと承知した上で野球人生を続けてきましたけど、悔いを一つ挙げるのなら、最後に呼んでいただいた中日ドラゴンズに貢献できなかったこと。ファンの人にも申し訳ない気持ちでいっぱいですし、自分自身もすごく悔しい気持ちです」

 ―野球とは。

 「本当に僕から野球を取れば何も残らないし、小さい頃から野球を通していろいろな方と会うことができましたし、僕にとって、野球は宝物。いままで野球があったから人生を全うできた。なくなると考えると不安もありますけど、すごく幸せだったと思います」

 ―印象に残っているプレーや試合は。

 「思い出はキリがないけど、ドラゴンズで初めてお立ち台に立って、あの歓声は特別な一日でした。まさかあれが最後になると思わなかったですけど、一生忘れないと思います」

 ―感謝を伝えたい。

 「最後にユニホームを着させてもらったドラゴンズ、スタッフの方に本当に感謝していますし、最後にドラゴンズのユニホームで野球人生を終わることができて幸せだと思います」

 ―本塁打への思い。

 「やっぱり球場の雰囲気を変えられるのがホームラン。すごくこだわりは強かったし、本当はもっともっと打ちたかったです。

この球場でもたくさん打ちたかったという気持ちは強いですけど。僕にとって、ホームランは特別ですよね」

 ―今後は野球をどう関わる。

 「全く決めていないのでどうなるか分からないけど、正直、この2、3年は精神的に考えることも多くて、野球を嫌いになりかけていた自分がいたんですよ。最後に野球が好きになって終わりたいという思いが強いし、どういう形で携わっていけるのかは分からないけど、まずは、まだシーズンが残っているので」

 ―家族にはいつ伝えた。

 「1か月前くらいですね。母親と家族に伝えました」

 ―反応は。

 「僕以上に悲しんでくれましたし、僕もですけど、母親も野球ありきの生活だった。いろいろ心配や迷惑をかけて、こういう終わり方は僕自身もですけど悔しい。そういう会話はしました」

 ―名古屋の街は。

 「名古屋のみなさんは温かくて、こんなに貢献していない選手にも、すごく声をかけてくださった。何度救われたか分からないですし、本当に好きな場所です」

 ―中日の若手について。

 「もっともっとチームのために何か残したかったけど、選手一人ひとり、素直でかわいい後輩たち。

これからも何かあれば頼られるような存在でありたいし、一人ひとりを全力で応援していきたいです」

 ―特に期待している選手は。

 「特にというのはないですけど、力を持っている選手はたくさん。こんなもんじゃないっていう選手はたくさん。1軍に定着して、日本を代表する選手になってもらいたいです。この数か月は2軍で過ごして、切磋琢磨(せっさたくま)して、1軍で結果を残すんだという子たちがたくさんいた。たくさん会話もできたし、思いも聞けたので、頑張ってもらいたい気持ちが強いです」

 ―引退を報告し、周囲からかけられた言葉は。

 「みなさんに18年間お疲れ様、よく頑張ったと声をかけてもらって、少し自分の気持ちも救われました。背中を押してもらったこともたくさんあったので、お世話になった方やOBの方々にも感謝したいと思います」

 ―引退までに成し遂げたいこと。

 「シーズン残りわずかですけど、チームとしてAクラスを勝ち取るために頑張ってくれる。僕もユニホームを着られる限りはできることはやりたいし、もう一度野球を大好きになって、ユニホームを脱ぎたいです」

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