雄姿を見せる―。大役を意気に感じ、巨人・井上温大投手(24)がミスターに白星を届けることを誓った。
今も目に焼き付く光景がある。長嶋さんが車いすに乗って東京Dに激励に訪れてくれた時のことだ。「巨人の歴史の中でも一番偉大な方。サロンで毎回、チームにゲキというか言葉をくださるのですが、やっぱりそういう時は力が入る。車いすで自由に動けていない姿でも、グラウンドに来て、チームのために言葉をかけてくださるので、すごい力になるなと思いました」
その場で聞いた「勝つ勝つ勝~つ」の言葉は鮮明に刻まれており、「それが一番、記憶にあります」と改めて必勝を誓った。6年目の今季は3勝6敗、防御率3・31。5回途中3失点だった前回7月31日の中日戦では、以前から阿部監督に指摘されていたベースカバーを怠るなど精彩を欠き、1日に登録を抹消された。桑田2軍監督の助言で低めの制球力改善にも着手し、6日のイースタン・DeNA戦(横須賀)で5回1安打0封と好投し、再びチャンスをつかんだ。
何が何でも勝ちたい。長嶋さんの死去後初めて迎えた6月4日のロッテ戦(ZOZO)では7回5失点。5敗目を喫し、弔い星を届けられなかった。「前回そういう日に打たれてしまったので、今回は良い姿を見せられるようにしたい」。全身全霊で勝ちにいく。(堀内 啓太)