◆第107回全国高校野球選手権大会第9日 ▽2回戦 横浜5―1綾羽(14日・甲子園)
横浜(神奈川)は綾羽(滋賀)に逆転勝ちし、7年ぶり16強。4回から救援した織田翔希(2年)が自己最速タイの152キロで流れを呼び、5回には同点打と投打に躍動。
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1球で聖地の雰囲気を変えた。152キロ―。自己最速タイ。織田が投じた初球の球速表示に、3万5000人がどよめいた。0―1の4回から救援。思い切り右腕を振った。判定はボールだったが、インパクトは強烈だった。
「球速は意識していない。流れを変える意味で、力がこもったと思います」。先発した背番号6の2年生・池田聖摩が初回に失点。打線も0が続く中で出番が来た。
投げるだけじゃない。打って走った。5回2死二塁。直球を捉え、中前に同点タイムリーを放った。「自分が同点にしてやろうと強い気持ちで打席に入りました」。次の瞬間、二盗のサイン。完全に盗んだ。「本当にびっくりして」。エースの躍動で打線に火がつき、後半に突き放した。最後の1死は先輩の奥村頼人に託したが、5回2/3を3安打無失点、6K。
レジェンドの一言で変わった。6月上旬、OBの松坂大輔氏(44)が同校へ激励に来た。「視野を広く持つといいよ」と助言された。「視野が狭くなり、表情に出てしまうことがあって」。だからこの日、笑顔を貫いた。「投手が悪い表情をしていると伝染する。100%楽しんで良い雰囲気になればと。緊張もなく自信を持って投げられたのは、成長だと思います」。周囲に声をかけ続け、全員で戦った。
就任後、初の甲子園夏2勝となった村田浩明監督(39)も織田投入に「流れが一気に来た。球場の雰囲気が変わりました」と称賛した。「次も一戦必勝で勝利に貢献したい」と17歳。熱い夏は、誰よりも長い夏にする。(加藤 弘士)
巨人・榑松スカウトディレクター「本来の織田君。力みもなく、低めの直球がホップしている」
日本ハム・大渕スカウト部長「まっすぐ中心で、よく指にかかっている。ベース上でしっかりボールが生きている」