◆第107回全国高校野球選手権大会第10日 ▽2回戦 明豊6-1佐賀北(15日・甲子園)
仕留めた。明豊・辻田拓未は打球がセンターを越えたのを見ると、全力で二塁へ疾走した。
「打ったらヒーローだなと前向きに捉えて、打席に立ちました」。1回戦の市船橋ではスタメンで唯一、安打がなかった。仲間からは「ヒット、見たいな~」と軽く圧をかけられた。最高の形で期待に応えた。雨で中断1時間2分の難しい試合を、強い心で制した。
前日14日は18歳の誕生日。「同期のみんなに祝ってもらいました」。
神戸市出身。小学生時代は甲子園での高校野球観戦が楽しみだった。金足農の吉田輝星(現オリックス)に憧れ「いつかは僕も」と夢を描いた。今夏の大分大会では5試合中4試合で1年生捕手がスタメンマスク。「屈辱的で気持ちが腐りそうになったんですが、チームのために尽くそうと」。明るさを失わず、聖地で輝いた。(加藤 弘士)