◆米大リーグ オリオールズ5―3マリナーズ(14日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパーク)

 オリオールズ・菅野智之投手(35)が14日(日本時間15日)、日本人ルーキーでは史上10人目となる10勝目を挙げた。巨人出身では2010年の高橋尚成(メッツ)以来2人目で、36歳シーズンの達成は同最年長記録となった。

本拠地・マリナーズ戦で5回1/3を3安打1失点と好投し、渡米後最長の自身4連勝。2ケタ勝利は日米通算10度目となった。

 35歳の菅野がメジャー1年目で節目の10勝目を手にした。最速152キロの速球で内角を意識させた上で、スライダーなどの変化球を効果的に使う持ち味の投球で強打のマリナーズ打線を封じた。渡米後最長の自身4連勝。日本人ルーキーでは24年の今永昇太(カブス)以来10人目の2ケタ勝利だが、36歳シーズンの新人10勝は最年長記録だ。「通過点ではあるが素直にうれしい」と胸を張った。

 5―0の6回1死一塁で3番・ロドリゲスを迎えた場面で雨脚が強まった。「投げたらボールがどこに行くか分からなかった」。プレートを外し、雨が弱くなるのを待つ。ピッチクロック違反を取られても冷静に時間を稼いだ。結局、試合は中断しそのまま降板。

マンソリーニ監督代行は「次の球を投げる前に菅野がベテランらしく対処してくれた」とたたえた。

 月間防御率は6月が6・20、7月が5・75とシーズン中盤に苦しんだ。「もうちょっとスピードを上げようとか、変化球を曲げようとか、いらない欲みたいなものが操作していた」と振り返る。「ちょっとしたズレが毎試合投げていくと大きなズレになる。それが修正できた」。配球も球種の偏りを避け、この日は6球種をほぼ満遍なく使用。シンカーで右打者の内角をえぐり「両サイドの制球を間違えないところが要因だと思う。投げていて気持ちいい」。8月は3試合で2・60と安定感抜群だ。

 勝ち星と投球回126回1/3は1年目の投手としてはトップ。新人王争いは7月にルーキー史上初の1試合4本塁打を放つなど今季23発のカーツ(アスレチックス)が大本命だが、35歳も負けていない。「最後までこの調子とこのペースで投げ続けられるようにしたい」。

日本人ルーキーの最多勝は12年のダルビッシュ有(レンジャーズ)、16年の前田健太(ドジャース)の16勝。新記録も十分狙える位置にいる。

 ◆高橋尚成氏「僕の10勝なんて、菅野のそれとは別です(笑)。こちらはマイナー契約からはい上がって、中継ぎで開幕、5~7月の間に先発で起用されて勝った星は4つ。リリーフでの勝利を含めた10勝は、ホントの『2ケタ』じゃありません。菅野は、先発で期待されるプレッシャーの中、ローテーションを守り、トレードに出されるかもと心揺さぶられる中での到達ですから。これまで早々に交代させられた試合もあったけど『もっと投げられる!』という自分の気持ちより、チーム状況を最優先にして、キレることなくここまで来たのも、大人だな、と思います。今のメジャーでは、契約条件で高年齢は不利。そこを覆す投球を披露してますから、本当に立派です」

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