◆第107回全国高校野球選手権大会第11日 ▽2回戦 日大三9―4高川学園(16日・甲子園)

 日大三(西東京)が高川学園(山口)に勝利しベスト8進出を決めた。

 滴る汗を拭いながらエースが意地の完投勝利を収めた。

6点リードで迎えた3回。先発した近藤優樹(3年)は「集中力が欠けていた。点差があって1点くらいはいいだろうと気が緩んだ」。先頭から3連打を許すなど、3点を失った。

 それでもマウンドに立ち続けた。試合前には味方の投手全員に向けて「マウンドは譲らないから」と宣言。「試合の後半は足がつりそうになった」と疲労もあったが、9回4失点の完投でエースの意地を見せつけた。

 一番の長所は制球力。ストレートの球速は130キロ中盤も、全ての球種を自在に操り、凡打の山を築く。幼少期からホームベース上にバットを立て、ボールを当てて倒すという独自の練習法で制球力を磨いてきた。球速へのこだわりを捨て、球の質や変化球の精度を追求した結果、名門校のエースまで上り詰めた。

 チームは18年以来7年ぶりの8強入り。

次戦に向けて「疲労はありますけど、任されたところをしっかりと投げたいです」と拳を握った。日本一に向けて「背番号1」が聖地のマウンドを独占する。(高澤 孝介)

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