◆第107回全国高校野球選手権大会第11日 ▽3回戦 山梨学院14―0岡山学芸館(16日・甲子園)

 「ジャイアント菰田」が投打に大暴れだ。最速152キロを誇る山梨学院の二刀流右腕・菰田陽生(2年)が岡山学芸館戦に先発し6回途中1安打無失点。

打っては4打数3安打3打点で、初の夏8強に貢献。194センチ、100キロの逸材に吉田洸二監督(56)はプロレス団体からオファーが届いたと明かした。

 遊撃手の頭上を襲う低く痛烈なライナーが、一瞬で左中間フェンスまで到達した。2点リードの5回、4点を加えなお2死二塁。菰田は194センチ、100キロの大きな体を躍らせ、一気に三塁へ。適時三塁打に「芯で捉えて、しっかり打つことができた。初戦で打てなかったので、よかった」。吉田監督は「甲子園が壊れるかという勢いだった」と喜んだ。

 聖光学院との初戦(12日)は3打数無安打も、スイングスピードはチームトップの150キロ。プロの超一流でも約160キロとされ、吉田健人部長(28)は「高校生では、なかなかいない」。岡山学芸館の森下絢心(けんしん)遊撃手は「打球が速すぎて目に入らなかった」と驚きを隠さなかった。

 マウンドでは長身を生かし角度のある直球を投げ下ろした。

5回2/3を1安打0封。150キロを2度マークした。初戦は、長い回数を投げることを考えて出力は8割程度。最速も147キロだったが「相手が分析してくるなか、自分も出力を上げなければ打たれる」と序盤からほぼ全開だった。

 「二刀流を目標に頑張っている。甲子園という舞台で、自分のプレースタイルを発揮できたのはよかった」。全てが規格外の16歳には「プロレスの団体から声がかかりました」(吉田監督)。菰田の足の大きさは32センチ。元巨人投手で日本プロレス界の英雄、故・ジャイアント馬場さんは同34センチでわずかに及ばないが、存在感は圧倒的。高校野球という枠を超えて、熱い視線が注がれている。

 チームは11度目の出場で初の8強進出。昨夏の覇者・京都国際との準々決勝では、センバツでマークした最速152キロの更新と、豪快な一発への期待が高まる。

身長と同じく、菰田の可能性はまだまだ底が見えない。(浜木 俊介)

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