◆第107回全国高校野球選手権大会第11日 ▽3回戦 日大三9―4高川学園(16日・甲子園)

 日大三(西東京)は7年ぶり、関東第一(東東京)は2年連続の8強。準々決勝の組み合わせ抽選が行われ、春夏通算5度目の東京対決が実現した。

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 最後の打者を左飛に仕留めると、日大三の右腕・近藤優樹は安どの笑みを浮かべた。10安打を浴びながら4失点、123球の粘投で2戦連続の完投勝利。仲間の投手陣には冗談めかして「マウンドは譲らないから」。言葉を現実にした。

 立ち上がりに1点を失ったが、直後に味方が5得点。その後はリードを許さず「野手が打ってくれたから。ありがたい」。171センチ右腕は130キロ中盤の直球と多彩な変化球を丁寧にコーナーに集めた。ホームベース上にバットを立て、ボールを当てて倒すという独自の練習法でコントロールを磨いた。幼少期から磨き上げた制球力を生かし、粘り強く投げ切った。

 チームは7年ぶりの8強入り。2学年上の先輩・安田虎汰郎投手(早大2年)が23年夏に敗れた3回戦を突破し、憧れの背中を追い抜いた。

「あの存在を越したので『よっしゃ!』って思いがある」。入学直後から安田が引退するまでの4か月間、一緒に練習し、入浴後の自由時間には野球談議。地方大会前には「お前らならやれる」と激励を受け「やってやろう」と自分を奮い立たせた。

 三木有造監督(51)は「近藤のチームです」と全幅の信頼を寄せる。「プレッシャーもあるが、やることは変わらない。任されたところをしっかり投げ切る」。名門のエースは聖地のマウンドを誰にも譲らず、目標の日本一を達成する。(高澤 孝介)

 ◆近藤 優樹(こんどう・ゆうき)2007年7月23日、東京都生まれ。18歳。幼稚園の年中で野球を始める。両国中では東京青山シニアで投手。日大三に進み、1年秋に背番号18で初めてベンチ入り。

2年秋から背番号10で、今大会から1番を背負う。171センチ、81キロ。右投右打。

 ▼5度目の東京対決 日大三、関東第一がそろってベスト8進出、第2試合での対戦が決まった。夏の甲子園で東京が東西2代表になった74年以降、2校ともに8強進出は、15年関東第一・早実以来、5度目。

 また、東京勢同士の対戦は、72年春決勝で日大桜丘が、連覇を目指した日大三に●5―0。兄弟校対決に勝利。夏は77年2回戦で、早実が前年Vの桜美林に4―1。95年準々決勝で帝京(この年V)が●8―3創価。10年3回戦で関東第一が●10―6早実に次ぎ、春夏通算5度目だ。

 ▼3人目の2ケタ被安打勝利 日大三・近藤優樹が10安打(4失点)を許すも完投勝利。春夏の甲子園大会で、日大三投手陣が2ケタ安打されながら勝ったのは8度目。

このうち、1人で10安打以上を許して勝利投手は、40年夏1回戦・大分商戦(延長18回)の木村三郎が18回、被安打11(1失点)。11年夏2回戦・開星戦の吉永健太朗が9回、被安打15(8失点)でともに完投勝ちしたのに次ぎ、3人目。

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