◆第107回全国高校野球選手権大会第11日 ▽3回戦 京都国際3―2尽誠学園(16日・甲子園)

 京都国際・西村一毅の姿は、女房役・猪股琉冴の目に「別人のよう」に映っていた。1点リードで迎えた最終回。

1番から始まる打順に、左腕は「ヒットが出ると流れがいく。全員、三振を取りに行きました」と狙いを一点に定めた。直球で2人を仕留めると、最後はスライダーで圧巻の3者連続空振り三振。聖地5連勝で、2年連続8強の立役者となった。

 160球で完投した健大高崎(群馬)戦から中2日。1―2と逆転された直後の6回にマウンドに上がると、球場の雰囲気は一変した。内野安打2本でいきなり2死満塁とされたが、後続を三飛に打ち取り、無失点。7回以降無安打で試合を落ち着かせると、8回、2年生の3番・小川礼斗が「西村さんが点を取られるとは思わなかった。安心して攻撃につなげられた」と、逆転の2点適時打を放った。京都大会から5度目の逆転勝ちだ。

 「流れが悪いと、3者連続三振、チームに勢いをつける投球ができて初めてエース。森下(現DeNA)はそういうこともできた」。

21年夏4強の先輩左腕に憧れて入学した西村に、小牧憲継監督(42)はそう言い続けてきた。この日の甲子園は尽誠学園を後押しする雰囲気だったが、「アウェーの方が楽しい。気合が入る」と余裕の表情。指揮官は「今日の西村の姿からは、エースに成長したなと熱いものを感じた」と目を細めた。

 再び中2日で臨む準々決勝は、この日17安打の猛打で勝ち上がった23年センバツV校の山梨学院が相手だ。「1番を着けているからには、一気に流れを持ってこれるようなピッチングをしないといけない。そこが自覚だと思う」と西村。史上7校目の連覇まで、マウンドを守り続ける。(瀬川 楓花)

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