◆JERAセ・リーグ 広島2―7ヤクルト(17日・マツダスタジアム)

 広島は、最下位・ヤクルトに完敗で再び借金10となった。遠藤が4回途中6失点。

先発投手の乱調もあったが、打線は初回無死満塁の絶好機で4番・末包の併殺打の間に1点を奪っただけ。5点ビハインドの7回は1死満塁から末包、坂倉が凡退。4位から変動はないものの、3位・DeNAに今季最大タイの4ゲーム差に広がった。

 試合後、新井監督の口調が熱を帯びた。末包に対してだ。「本人も悔しいと思う」と切り出し、続けて「ただ、この悔しさを燃やして力に変えないといけないと思う。そして成長していかないといけない」と言葉を向けた。

 4番打者の差が勝敗を分けた。ヤクルトの4番・村上は、4回にリードを3点に広げた直後に勝利を呼び込む3ランを放った。実績は違えど、同じ4番打者。「俺が現役のときも、相手の4番に負けたくないとか。そう思ってやっていた」と指揮官。

「チーム内の競争はもちろんだけど、やっぱりもう一つ二つ高い意識を持たないと。さらに成長していくために、チーム内の競争だけじゃダメだと思う。外に目を向けないと」と、あえて相手との差を突きつけた。

 今季は57試合で4番を任せてきた。得点圏打率は3割1分8厘という好成績だが、ここぞの場面で打ってこそ。指揮官は、元同僚のカブス・鈴木誠也も引き合いに出した。「そういう悔しさは、ずっと覚えておかないといけない。ずっと覚えて、クソッっという思いを持ち続けて。誠也だって、誠也の何が優れているかって、そういういうところ」。末包にも、それができるという期待を込めた。

 指揮官の言葉は、今のチーム全体にも通じること。末包だけでなく、5番・坂倉も3度の得点機で凡退した。

「『絶対に負けない』『クソッ』って。それも成長していくために大切な要素。切り替えて、切り替えて、ばかりじゃなしに、悔しい気持ちを持ち続けて、いい意味で次の試合に持ち込んでいく。そういう作業は自分でしかできない」。

 2位で迎えた7月は4勝(16敗3分け)しかできず、5位で迎えた8月も7勝7敗で4位という状況。CSに向けて今が正念場。この日の1敗を単なる1敗にせず、残り36試合を戦う。

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