◆JERA セ・リーグ ヤクルト2―15巨人(19日・神宮)

 目覚めを告げる号砲を鳴らした。1点リードの2回先頭。

中山礼都内野手(23)が2ストライクからランバートの外角高め152キロ直球を打ち砕いた。左翼席へ放り込む3試合ぶりの今季4号ソロ。「イニングの先頭だったので、出塁することを意識していました。強く打つことできて良かったです」。右翼手の高橋由伸(巨人)やイチロー(マリナーズなど)のような選手へ成長してほしいという願いを込めて「礼都(らいと)」と名付けられた男が、プロ入り後初めて逆方向のレフトスタンドに運んでみせた。

 止まらなかった。2点リードの3回2死三塁ではカウント2―1から外角高め152キロ直球を捉えて、再び左翼席へ5号2ラン。2打席連発となる自身初の1試合2発。今季プロ1号を放ったばかりの若武者が2本とも逆方向に放り込む離れ業をやってのけた。「得点圏だったので何とかランナーをかえしたい思いで打席に立ちました。最高の結果になってとてもうれしいです」と、笑顔でナインに迎えられた。

 さらに3打席目には右翼線二塁打を放ち今季初の猛打賞。

4打席目は右前適時打で自身初となる1試合4安打、同最多4打点の大暴れ。三塁打が出ればサイクル安打と、王手をかけた5打席目は中飛に倒れ丸には続けなかったが「5打席目に関してはあんまりなくて。最後『(6打席目が)回ってきたらいけ』っていうふうに先輩には言われていた。回ってきたら狙おうかなと思っていました。次またチャンスがあれば達成したいなと思います」と、偉業の達成にも意欲をのぞかせた。

 阿部監督も「誰にも負けないくらいしている」と認める練習の虫。本拠地・東京Dでの試合後は室内で打撃練習やバント練習を欠かさず行い、誰よりも多くの汗を流す。不動の二塁手だった吉川が腰痛で出場選手登録を抹消される苦しいチーム状況の中、3試合連続で二塁でスタメン出場。本職は内野ながら、7月以降は主に外野でも出場を重ねてきた。「今日に関しては風もあったんで。もっともっと打てるように継続したい」。背番号40が、神宮の夜空を2発の大きな花火で彩った。

(加藤 翔平)

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