◆JERA セ・リーグ ヤクルト2―15巨人(19日・神宮)
高鳴る鼓動を感じながら、巨人・戸郷翔征投手(25)はヤクルト・村上との対戦を楽しんだ。
15―2で迎えた8回2死走者なしで4番を迎えると、オール直球の力勝負を挑んだ。
2点の援護をもらった初回、いきなり先頭・太田に四球を与え、村上の犠飛で1点差とされたが、そこからテンポアップ。3、4、5回は3人ずつで片付け、大量点への流れをつくった。8回に1点を追加されたが「いい直球が投げられた」と6奪三振。阿部監督も「いいピッチングをしてくれた。何かきっかけにしてくれれば」と合格点を与えた。
面倒見のいいエースが、シーズン終盤のチームを救う。自主トレをともに行う後輩で、今季からくふうハヤテでプレーする元巨人の笠島尚樹投手が静岡に引っ越す際には炊飯器などの家電に加え「ふるさと納税でたくさん届くから」と、キッチンペーパーなどの日用品も大量にプレゼントした。仲間思いだが、今季は2度の2軍降格で周りに負担をかけた。ここにきて先発陣はグリフィン、山崎らが抹消。「僕がいない時、頑張っていたのは見ている。チームが苦しい時に勝ちたい」と恩返しを誓う。
「久しぶりの長いイニングで自分の投球を考えながらできた。球速が出たこともプラス。中継ぎの方も頑張ってくれていたのでよかった」。最後まで諦めず、チームのために戦い抜く。(水上 智恵)