◆米大リーグ レッドソックス―オリオールズ(19日、米マサチューセッツ州ボストン=フェンウェイパーク)

 オリオールズ・菅野智之投手(35)が19日(日本時間20日)、敵地・Rソックス戦に先発。11勝目をかけたマウンドで3回に先制を許した。

 「2番・捕手」で先発出場が発表されていた正捕手・ラッチマンが右脇腹痛のため出場回避。A・ジャクソンとの“急造”バッテリーに変更となるアクシデントが起きる中、初回は冷静だった。2死一、二塁で迎えた5番・吉田正尚外野手(32)とのメジャー初対戦。4球目には左翼へ大きなファウルもあったが、最後は6球目の88・1マイル(約141・8キロ)スプリットで空振り三振に斬り、ピンチを脱した。2回は6番・ゴンザレスの右前打で初回に続く先頭打者の出塁を許したが、ゴンザレスが試みた二盗をA・ジャクソンが阻止。女房役の助けもあり、揺るぐことはなかった。

 0―0の3回。9番・ウォンの左前打でまたしても先頭打者を塁に出した。続くアンソニーの打球はセカンド正面のゲッツコース。しかし、二塁・ホリデーの失策で無死一、二塁となった。その後2死二、三塁から4番・ストーリーと対じ。1球目で空振りを奪い、2球目を投げる直前。

三塁走者の動きに対してプレートを外し、けん制のそぶりを見せたが、ボークの判定となって先制点を献上した。MLBでは23年からけん制の回数制限が設けられており、1人の打席でけん制できるのは2度まで。3度目をする場合はアウトにしなければならない。ストーリーの打席では当該プレーが3度目のプレート外しとなり、宣告を受けた。菅野は両手を広げ、戸惑いの表情を浮かべた。

 前回14日(同15日)の本拠地・マリナーズ戦では6回途中3安打1失点の好投で日本人ルーキーでは史上10人目となる10勝目を挙げた。36歳シーズンの新人10勝は10人の中で最年長記録だった。自身にとって日米通算10度目の2ケタ勝利を渡米後最長となる4連勝で飾り「あくまで通過点ですけど、素直にうれしい」と話していた。8月はこの日まで3試合で2勝0敗、防御率2・60と序盤の安定感を取り戻している。

 この日実現した吉田との注目の「日本人対決」。公式戦での対戦は7年ぶり。巨人時代の18年6月1日の交流戦(京セラD)でオリックスの主砲と初めて相対し、その時は初回に右前適時打を浴びるなど3打数2安打1打点だった。

「吉田君には近め(内角)の直球を簡単にはじき返された」と脱帽し、19年7月13日のオールスター第2戦(甲子園)でも右前打を許していた。前日19日(同20日)の試合前練習では吉田と談笑する場面もあった右腕。日本では相性の良くなかった好打者とのメジャー初対戦がこの日の勝敗の鍵を握るかもしれない。

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