◆JERA セ・リーグ ヤクルト7―2巨人(20日・神宮)
巨人の森田駿哉投手(28)がヤクルトの一発攻勢に沈んだ。3連勝を狙って先発したが、2回に村上にソロを許しプロ初の自責点を献上。
ネット裏の記者席で見ていて、苦悩が痛いほど伝わってきた。普段は穏やかで優しいキャベッジが激高した。5回1死一塁、空振り三振に倒れると右膝を高く上げた。両手で持ったバットを前ももに上からたたきつけ、2つにへし折って粉砕した。打線爆発の大勝から一夜、一転して攻撃陣が沈黙。4打数無安打で21打席連続無安打となった助っ人の怒り爆発はストレスのたまる試合展開を象徴するような場面だった。
19日の3連戦初戦は、ともに今季最多の20安打15得点。大量点の翌日は不思議と得点が入らないことが多いと言われ、テレビ中継の解説者も試合開始直後に「プロ野球あるある」とコメントしていたが、くしくもその通りになった。
試合前のフリー打撃では油断や大勝の余韻は全く感じられなかった。大振りになることなく、むしろ、いつも以上に丁寧にセンター中心にライナー性の低い打球を連発しているように見えた。18安打12得点で勝利した8日のDeNA戦(横浜)の試合後、阿部監督が「こういう大味の試合の後のほうが大事。みんな忘れて明日、もう一回頑張ってほしい」とコメントし、翌9日に全員でつないで8安打4得点で勝利したのを思い出し、期待感が高まった。
リセットして新たな気持ちで臨んだ打線の前にヤクルト先発の助っ人右腕・アビラが立ちはだかった。独特の軌道のチェンジアップに翻弄(ほんろう)され、タイミングを外された。
初回、2回と3者凡退。3回は振り逃げと2四球でつくった無死満塁から泉口が適時打も、なお無死満塁からキャベッジが遊飛。丸、岡本も三振で1点止まりは痛恨だった。大量点の反動なのか、「(以前)言った通りになっちゃったね」と阿部監督。「相手ピッチャー(アビラ)の絞り球だったんじゃないかな」と狙い球を絞り切れなかった点を反省材料に挙げた。
これで再び借金1となった。勢いに乗れそうで乗れない、歯がゆい流れが続くが、「勝つために切り替えるしかないからね」と指揮官が言うように、前を向くのみだ。試合後、キャベッジは悔しそうに無言で球場を後にした。やられたらやり返す。闘争心あふれる厳しい表情だった。(巨人担当キャップ・片岡 優帆)