◆JERA セ・リーグ ヤクルト1―7巨人(21日・神宮)

 勝負強い4番が帰ってきた。初回2死一塁。

カウント1―2から岡本は石川の外角低めに沈んでいくシンカーに食らいついた。痛烈な打球で三塁線を破ると、左翼手・内山が処理にもたつく間に一塁走者の泉口が生還。「泉口が良く走ってくれたので感謝です」。左肘じん帯損傷から復帰後初の長打となる先制の適時二塁打が決勝点。復帰後初のV打にもなり、白い歯をのぞかせた。

 主砲らしい快音は続いた。2回2死では浮いたシンカーを逃さない。左中間へ運ぶと送球が乱れる間に三塁へ(記録は二塁打)。2本の長打で2試合ぶりのマルチ安打をマークした。「(初めて長打が出て)ちょっとホッとしてます」。打線は2回までに6得点。岡本のバットが猛攻を呼び込んだ。

 レジェンド右腕の白星に貢献できたこともうれしかった。日米通算199勝目を目指して田中将が先発。自身が長期離脱して故障班で過ごす間、田中将はファーム調整中で、G球場で顔を合わせることも多かった。復活を期して奮闘する姿を見てきており、「良かったです」と喜んだ。

 覚醒気配を漂わせるロマン砲の活躍にも一役買っている。この日、特大弾を放ったリチャードは7月以降、岡本にプレゼントされたバットと打撃用手袋を使用しており「2軍にいた時に『どんなの使ってるんですか』と聞いたらくれたんです。(手袋は)滑りにくくていいです。ありがたい」と心遣いに感謝した。

 チームは得点力不足に苦しんできたが、7点を奪って快勝。阿部監督は「(序盤の大量点が)大きかった。最後も1点取ったりして、いい形なので明日につなげたい」と目を細めた。約3か月の離脱を経て戻ってきた男が4番にどっしりと座っていることは大きな安心感をもたらしている。

「泥臭く頑張りたい」と岡本。勝利へつながる一打を追い求めていく。(宮内 孝太)

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