◆JERA セ・リーグ 巨人8―1DeNA(22日・東京ドーム)
巨人・岡本和真内野手(29)が、左肘靱帯(じんたい)損傷から復帰後初本塁打を放った。DeNA戦の3回にジャクソンから左中間へ、復帰6戦24打席目、5月1日の広島戦(東京D)以来となる先制9号ソロ。
待望の瞬間が訪れた。岡本のスイングから放たれた白球が、すっ飛んでいった。左肘靱帯損傷から1軍復帰後初アーチ。待っていた。113日ぶりとなる9号ソロで“ただいま”を伝えると、東京Dに大合唱がこだました。
「素直にうれしかった。(ダイヤモンド)一周ってめっちゃ長いなと思いましたね」
両軍無得点の3回2死。1ストライクからジャクソンの外角スライダーを捉えた。手元まで引きつけ、すくい上げた。
復活を信じてやってきた。5月6日の阪神戦(東京D)に一塁守備で打者走者と交錯し、左肘を負傷。打撃に重要な部位が故障する絶望的な状況すら、翌日にはプラスに捉えた。「やりたいことがやりやすくなるんじゃないか」。元々、左腕の可動域が広く柔軟性があるが、それゆえの弊害も感じていたからだった。「器用にいける、当てられちゃうから正直、左がバッティングの邪魔をしているなと思ってた」。振れるようになってからは左右の力の比重を微調整。よりボールを呼び込んで打つようにするなど、進化を求め続けた。
早期復帰へ食事面も改革した。「栄養は大事だから。
リハビリ中も常に一緒に戦ってきた。「ずっと見てましたね」。1軍の試合をチェックするだけでなく2、3軍も見た。打席に立つ姿を想像し、気づけば、野球のことが頭を埋め尽くした。復活へ尽力しながら、故障組や若手にも惜しみなく時間をささげた。けがで離脱した若林、浅野らに寄り添い、技術やトレーニング論を伝授するだけでなく、メンタル面もケア。「普段話さない若い子たちとも話すことができて、すごい、いい時間だった」。どんな場所でも柱の役割を全うした。
離脱中は指揮官の「和真が帰ってくるまで踏ん張ろう」という言葉を、「力になりたい」と再起への原動力にしてきた。岡本の一発から3位・DeNAとの直接対決に快勝し、2・5差に広げた。阿部監督は「いるだけでチームが落ち着くというか、どっしり構えられるというのもあるし、それぐらい大きい存在」とうなった。久しぶりのお立ち台で「残りの試合も全力で戦っていきます」と誓った主砲。完全復活の号砲が本拠に刻まれた。(宮内 孝太)