◆JERA セ・リーグ 巨人4―1DeNA(23日・東京ドーム)
巨人の岡本和真内野手(29)が、記録ずくめの大爆発だ。5回先頭でDeNA・石田裕から先制の10号ソロを放ち8年連続の2ケタ本塁打に到達。
岡本が描いた衝撃の弾道を、東京Dの誰もが固唾(かたず)をのんで見守った。天井スレスレから白球が落ちてくると、観客席から大歓声が湧き起こる。
「形は良くなかったかもしれないですけど、本塁打になってくれて良かった」 0―0の5回先頭で外角低めに沈む121キロシンカーをすくい上げ、左翼席前列へ今季初の2戦連発となる10号ソロだ。球団の4番打者で8年連続の2ケタ本塁打は、長嶋茂雄を抜いて3人目。「そこに名前が残るのはすごくうれしいこと。すごい先輩がたくさんいるので、少しでもそういう人たちに追いつけるように頑張りたいです」。4回まで完全投球のDeNA・石田裕から放った節目の一発が決勝弾となった。
4番の仕事を全うし続けた。1点リードの7回1死では11号ソロをバックスクリーン左へたたき込んだ。「2本目の方がいいバッティングができたんじゃないかと思います」。いずれも外角の変化球に下半身の開きを抑えて運んだアーチ。納得の2打席連発は、4月16日の同じカードでバウアーから打って以来だった。
その足元の強さを生むために、若手時代から胸に刻む金言がある。「守備の下半身の使い方が打撃につながる」。新人だった15年から4年間、指導を受けた現・侍ジャパンの井端弘和監督の言葉だ。逆シングルでゴロをさばいてから送球する際の右足の踏ん張りが、打席での軸足の粘りにつながるという。
7月6日、G球場のノック中にその動作を繰り返し確認した。同じ三塁にいた育成の平山に、身ぶりを交えて伝える場面もあった。「若い時に井端さんや勇人さんたちにたくさん、教えてもらっていたから」と岡本。
決勝アーチは自己最長3試合連続のV打となり、セの5球団から100打点以上に到達。メモリアルずくめで勝利に導いた主砲に、阿部監督は「素晴らしかったです」と賛辞を惜しまなかった。2日連続のお立ち台でチーム状態を問われると「明日も勝てるように頑張りますので応援よろしくお願いします」と、相変わらずのとぼけた“岡本節”で場内の爆笑をさらった。もう止められない。最強の4番打者が帰ってきた。(内田 拓希)