◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 ハッとさせられた。6月からYouTube「報知プロ野球チャンネル」の制作に携わるようになり、午前8時からジャイアンツ球場などで練習する2軍調整中の選手や育成選手に話を聞いている。

動画編集は素人。取材対象は自由に決められ、やりたいことができるが、その分クオリティーの高さを求めすぎてしまい毎日、全力疾走。常にマラソンをしている感覚で、息切れしてしまうことがある。

 先日、巨人の2年目・森田駿哉投手を取材した。27歳で入団したオールドルーキーは、けがの影響もあり、話を聞いた6月中旬は同期の支配下選手で唯一、1軍未出場だった。自分ならかなり焦るだろう。「同期の選手が1軍で活躍している。自分も早く…と思うことはないのか?」と聞くと「行きたいなとは思いますけど、こればっかりは自分の思いだけではどうにもならない」。さまざまな選手を取材してきたが、森田の言葉は焦りを感じさせず、地に足が着いていると感じた。

 「チャンスも少ないので1回で結果を出さないと。そのための準備をしっかりやらないといけない」。7月31日の中日戦(バンテリンD)では延長10回に、ほろ苦デビュー。

6日のヤクルト戦(東京D)では無失点投球で念願のプロ初勝利を挙げ、白星を重ねている。周りと比べて焦ることもある、それでも毎日の小さな積み重ねが結果につながる。人は人、自分は自分。おごらず今、自分がやるべきことを冷静にこなすことが大切だ。左腕の言葉が走る速度を緩めてくれた。(デジタル担当・内藤 菜月)

 ◆内藤 菜月(ないとう・なつき) 2022年入社。愛用の日焼け止めは楽天担当時代、伊藤裕季也内野手に勧められたアスリズム。

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