◆JERA セ・リーグ 巨人4―1DeNA(23日・東京ドーム)
3か月ぶりに笑えた。お立ち台後のベンチ裏。
悪夢を糧にした。長嶋茂雄さんの追悼試合だった16日の阪神戦で3回KO。不振が原因で、投げながら常にネガティブな想定ばかりするようになっていた。降板後、阿部監督に言われた。「村上を見とけ」。相手エースのハイテンポな投球に復調のヒントが隠されていた。抑えたいがためにマウンドで考える時間が増えていた。テンポを速めることで雑念を消した。
高校野球シーズンに初心に返った。夏の大会前、母校・前橋商の後輩へ「熱中症にならないように」と深部体温を効率良く下げるドリンクを差し入れ。ふと思った。「僕と関わっていない代。差し入れが来ても、一線で活躍してないと『お~』とならないかなって。ローテに入るだけじゃなくてエースみたいにならないと覚えてもらえない」。頑張ろうと気合がみなぎった。
ある球児にも元気をもらった。生まれつき左手の指がないハンデを乗り越えて甲子園4強入りに貢献した県岐阜商の横山温大(はると)外野手。同名であることを母・友理子さんから聞き、気になるようになった。「カッコいいな。本当に野球が好きだから、ハンデを気にしないでやれてるんだろうな」。9試合連続で勝てなかったが「最後は向かっていく気持ちなんだ」と気づけた。
昨年7月からDeNA戦は自身4連勝。「今までよりもポジティブに次の登板を迎えられる」と表情も晴れた。残り30試合。ラストスパートの準備を整えた。(堀内 啓太)