◆第107回全国高校野球選手権大会最終日 ▽決勝 沖縄尚学3―1日大三(23日・甲子園)

 甲子園4万5600人の視線の先、先発マウンドに上がったのは、沖縄尚学・新垣有絃だ。比嘉公也監督から大会中、一番成長した選手に名前を挙げられた2年生右腕は、7回2/3を6安打1失点の好投を見せた。

優勝の立役者となり「一番楽しかった」と、精悍(せいかん)なルックスをほころばせた。

 ピンチの場面こそ冷静だった。初回、1死二塁から日大三・本間律輝の右中間適時二塁打で先制点を許したが、その後は無失点。「ピンチの場面でも落ち着いて投げられた」。甲子園では先発3試合を含め、登板した4試合全てで勝ち投手となった。投げれば勝ちを呼び込む男は、決勝でも「勝ち運」の強さを見せた。

 5番・一塁でスタメンの兄・瑞稀とともに母・由紀子さん(47)の長年の願いもかなえた。「子供たちが小さいときから甲子園に連れて行ってと言っていたら、本当に連れてきてくれた」。兄弟で野球をする最後の1年で、日本一という最高のプレゼントを届けた。

 試合後は末吉とハグを交わした。「まだ投げていたかった」と満足していない。次の目標は「良丞を超えて1番を背負って甲子園に出ること」。

成長曲線はまだまだ上昇中。ここから大エースに化ける。(藤田 芽生)

◆下級生投手だけで優勝は史上6校目 

 沖縄尚学は左腕・末吉良丞、右腕・新垣有絃の2年生投手で優勝(決勝で2年生投手がリレーしてVは、63年明星以来)。1948年の学制改革後、夏の甲子園で3年生投手が登板せず、下級生投手だけで優勝は(すべて2年生)

 年  学校 人数 【登板投手】

57 広島商 (2) 曽根・山中

63 明星  (2) 堀川・角田

65 三池工 (1) 上田 卓三

94 佐賀商 (1) 峯  謙介

13 前橋育英(2) 高橋・喜多川

25 沖縄尚学(2) 末吉・新垣有

 沖縄尚学が6校目。末吉が6登板(完封含む2完投)、2勝(リリーフで3セーブ相当)で[防]1・06。新垣有が4登板、4勝で[防]0・82の好投を見せ、優勝を呼び込んだ。

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