◆第107回全国高校野球選手権大会

 低反発の金属バットが導入されて2年目の夏。本塁打数は昨年の7本から10本に増え、総得点も308から341に増加した。

対応の基本は体力を増強し、振る力を向上させること。沖縄尚学は、甲子園でも継続して筋トレを行っていた。日大三の三木監督は「力負けしない練習を、1年間やってきた。芯で捉えれば、あまり変わらない。(バットの先端に)重みがあるので、逆に飛んでいく」と話す。

 延長タイブレークは、過去最多の6試合(23、24年)を上回る8試合。その中から、準々決勝の県岐阜商―横浜のような名勝負も生まれた。

 酷暑対策として午前8時から2試合、午後4時15分から2試合を行う2部制が導入。夕方の部でプレーした多くの選手が、暑さを回避できたメリットを口にした。ファンにも快適な観戦をもたらし、午後7時13分に開始された9日の1回戦・市船橋―明豊の観客数は2万9000人。昨年の1、2回戦の第4試合で最も観客が多かったのは、掛川西―日本航空の2万人。「夏の甲子園」イコール「灼熱(しゃくねつ)の太陽」というイメージに変化が生じるかもしれない。

 新たな取り組みは終わらない。来春センバツからDH制が採用され、その先には7イニング制も検討されている。高校野球をサステナブルなものにするには、その“固定観念”にこだわるより、柔軟な受け止めの方が重要だと感じる。(浜木 俊介)

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