メジャーリーグで、あの試合の裏側や日本人選手の頼れる同僚の秘話など、“サイドストーリー”に焦点を当てる「My Loving Baseball」。第7回はオリオールズのアルバート・スアレス投手(35)の“注目発言”をピックアップした。

日本球界でもプレー経験がある右腕は、元同僚で今オフにポスティングシステムを利用してのメジャー移籍が確実なヤクルト・村上宗隆内野手(25)の活躍に「疑いなく(メジャーで)通用する」と“太鼓判”を押し、さらなる進化のポイントも挙げた。

 今オフ、ポスティング制度を利用してのメジャー挑戦が注目されるヤクルト・村上について、元同僚が活躍に太鼓判を押した。語り主はオリオールズのアルバート・スアレス投手だ。

 「疑いなくメジャーで通用すると思うよ。非常に頭のいい打者だから、大谷翔平(ドジャース)みたいにメジャーに来ることをきっかけに、さらに能力が伸びるタイプだと思う」

 2019年から3年間、ヤクルトに在籍。村上が同年に新人王を獲得し、21年にセ・リーグMVPに駆け上がる姿を間近で見てきた。22年には3冠王を獲得するなど、NPBを代表する打者となった村上に、さらなる“伸びしろ”を予言。渡米後、ノーステップ打法を取り入れ、メジャーの剛速球に対応した大谷を例に出し、「彼(村上)は今もステップが小さいけど、こっちでさらにスイングを速くできると思う。そうすれば、すごい打者になるだろう」と潜在能力を語った。

 8月12日にはメッツのスターンズ編成本部長が、20日にはドジャースのカー副社長が神宮球場で村上を視察。米メディアではその2球団に加え、マリナーズ、ヤンキース、Rソックスなどが興味を持っている、と報じられている。ヤクルトでは主に三塁を守っているが「一塁もできるし、フィットするチームが現れると思う。

楽しみだね」と語る。

 村上との再会を心待ちにする一方、実現させるためには自身もメジャーの舞台で活躍しなければいけない。今季登板は3月28日(日本時間29日)のブルージェイズ戦1試合だけ。3月末に右肩痛で負傷者リスト(IL)に入り、そこから長期離脱したが、8月12日(同13日)に傘下3Aでリハビリ登板を開始。1本塁打を浴び、2回4失点だったが「結果は良くないが、肩の不安はなく、球離れの感覚が良かったのがうれしい。今後、さらに状態を上げていきたい」と語った。2度目の3A登板となった17日は、3回1失点と好投。マンソリーニ監督代行は8月上旬の段階で、スアレスが復帰を果たした場合にはロングリリーフでの起用を示唆していたが、今季の開幕投手を務めたエフリンが腰の手術で今季絶望となったことで、先発としての復帰の可能性も探っている。

 メジャーに帯同している時は、チームメートの菅野智之投手と会話するシーンも多い。NPB時代の経験や人脈を大切にし、日本報道陣には「オツカレサマ、デース!」と日本語で声を掛ける。「不本意なシーズンになってしまったけれど、一日も早く戦列に戻ってチームに貢献するのが待ち切れないよ」と意気込んでいる。(一村順子通信員)

 ◆アルバート・スアレス(Albert Suarez)1989年10月8日、ベネズエラ出身。

35歳。2006年にデビルレイズ(現レイズ)と契約。エンゼルスを経て、15年11月にジャイアンツとマイナー契約を結び、16年にメジャーデビュー。19年からヤクルトで3年間プレーし、韓国・サムスンを経て24年からオリオールズでメジャー復帰。メジャー通算73試合で12勝15敗1セーブ、防御率4.07。NPB通算40試合で10勝8敗1セーブ、防御率3.00。190センチ、106キロ。右投右打。元阪神で現パドレスのロベルト・スアレスは実弟。

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