巨人・田中将大投手(36)が28日の広島戦(マツダ)で史上4人目の日米通算200勝達成に挑む。マツダでの登板は楽天時代の23年6月14日以来。

ヤンキース時代の同僚で今も感謝する先輩・黒田博樹氏(50)が2016年に日米200勝目を挙げた舞台で、自身も金字塔を狙う。25日はG球場で調整し「この何年間ずっと200(勝)を意識してきた。だからいつも通り」と心境を語り、26日から始まる広島3連戦の最終戦を飾る勝利をチームにもたらすことを誓った。

 大記録が目前に迫っても、田中将は平常心だった。久保巡回投手コーチに見守られながらブルペンで33球を投じ、最後は狙い澄まして外角低めに直球をピタリ。丁寧に状態を確かめた後、今の思いを淡々と語った。

 「初めてのことなので、どうなんでしょうね。でも、この何年間ずっと200を意識して、(周囲に)意識させられる部分もあって(笑)。当然クリアしたい思いがあった中で届かないまま来てしまった。けど、自分の中ではいつでもそれを迎える準備(をしてきた)。突然現れたものでもない。だからいつも通りです」

 806日ぶりに足を踏み入れるのは、“黒田イズム”が詰まった球場だ。

メジャー挑戦1年目に同僚だった黒田氏が日本球界復帰後の16年に日米通算200勝目を達成したのがマツダ。メジャー球団の高額オファーを断って15年に古巣・広島に復帰した「男気」で知られる先輩右腕には今も感謝が尽きない。

 「1年目でイチローさんもいらっしゃいましたけど、同じ投手で先発ローテーションを回る中で、黒田さんがチームメートとして居てくれたことは僕にとってすごく助けになった。言葉も通じるし、分からないことがあれば黒田さんに、何でも自分の言葉で聞けた。初めての経験の中で黒田さんの存在はすごく大きかった」

 もらった数々の金言は胸の内に秘めるが、教えを生かし19年には黒田を抜いてメジャー日本人初の6年連続2ケタ勝利をマーク。自身も日本へ戻り、19年目で節目に王手をかけた。広島は楽天時代の交流戦で21、23年に先発。「イメージはある」と力強くうなずいた。

 4月3日の198勝、前回21日の199勝の異様な雰囲気。チーム全員の、並々ならぬ思いも肌で感じている。「うれしいです。その気持ちはもう痛いほど、ありがたく思ってます」。

それでも投手陣最年長は、チームのために腕を振ることだけを考える。

 「事実として200という数字はあるけど、一番大事なのはチームが勝つこと。レギュラーシーズンで1つでも多く勝っていくこと。だから自分にとって、それがすべてではない」

 2軍調整中、周囲から何度も言われた。「若い子たちは絶対、夏場に落ちてくる時期がある。そこで助けてやって」。先発陣に登録抹消が相次いだ8月に再昇格するとここまで3戦で防御率1・15。「できることをやっていくだけ」とチームを救う覚悟にあふれている。日米200勝なら黒田らに次いで史上4人目。昨季の優勝はもちろん、現役時代の阿部監督が17年に通算2000安打を達成するなど、巨人の数々のメモリアル記録が生まれてきた球場でもある。マツダで決める準備はできている。(堀内 啓太)

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