巨人・田中将大投手(36)が28日の広島戦(マツダ)で史上4人目の日米通算200勝達成に挑む。マツダでの登板は楽天時代の23年6月14日以来。
大記録が目前に迫っても、田中将は平常心だった。久保巡回投手コーチに見守られながらブルペンで33球を投じ、最後は狙い澄まして外角低めに直球をピタリ。丁寧に状態を確かめた後、今の思いを淡々と語った。
「初めてのことなので、どうなんでしょうね。でも、この何年間ずっと200を意識して、(周囲に)意識させられる部分もあって(笑)。当然クリアしたい思いがあった中で届かないまま来てしまった。けど、自分の中ではいつでもそれを迎える準備(をしてきた)。突然現れたものでもない。だからいつも通りです」
806日ぶりに足を踏み入れるのは、“黒田イズム”が詰まった球場だ。
「1年目でイチローさんもいらっしゃいましたけど、同じ投手で先発ローテーションを回る中で、黒田さんがチームメートとして居てくれたことは僕にとってすごく助けになった。言葉も通じるし、分からないことがあれば黒田さんに、何でも自分の言葉で聞けた。初めての経験の中で黒田さんの存在はすごく大きかった」
もらった数々の金言は胸の内に秘めるが、教えを生かし19年には黒田を抜いてメジャー日本人初の6年連続2ケタ勝利をマーク。自身も日本へ戻り、19年目で節目に王手をかけた。広島は楽天時代の交流戦で21、23年に先発。「イメージはある」と力強くうなずいた。
4月3日の198勝、前回21日の199勝の異様な雰囲気。チーム全員の、並々ならぬ思いも肌で感じている。「うれしいです。その気持ちはもう痛いほど、ありがたく思ってます」。
「事実として200という数字はあるけど、一番大事なのはチームが勝つこと。レギュラーシーズンで1つでも多く勝っていくこと。だから自分にとって、それがすべてではない」
2軍調整中、周囲から何度も言われた。「若い子たちは絶対、夏場に落ちてくる時期がある。そこで助けてやって」。先発陣に登録抹消が相次いだ8月に再昇格するとここまで3戦で防御率1・15。「できることをやっていくだけ」とチームを救う覚悟にあふれている。日米200勝なら黒田らに次いで史上4人目。昨季の優勝はもちろん、現役時代の阿部監督が17年に通算2000安打を達成するなど、巨人の数々のメモリアル記録が生まれてきた球場でもある。マツダで決める準備はできている。(堀内 啓太)