◆パ・リーグ オリックス6X―5ロッテ=延長12回=(26日・京セラドーム大阪)
オリックスのドラフト1位・麦谷祐介外野手(23)が、ロッテ戦でプロ初本塁打を放った。4―5の延長10回、カウント2―0から横山の直球を捉え、右翼席に同点ソロ。
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彼は中学時代、今とは比べものにならないくらい非力な打者でした。当時から守備、走塁のセンスは抜群だったけど、入った時の身長が151センチで体重が38キロ。そんな体で打球が飛ぶわけないですよね(笑)。だから、これだけ大きくなって、プロの世界で活躍している姿が、当時は想像できなかったです。
僕が指導者として、常に子どもたちに伝えるのが「心・技・体」ではなく「体・技・心」であるということ。まずは丈夫な体をつくって練習に励む。そうすることで技が磨かれ、最後に「やりきった」という心の自信がついてくるものです。彼自身、中学の時から前向きに練習する子でしたが、高校、大学と相当な努力した結果が今の体、そしてプレーにつながっているんでしょうね。僕の教えを体現してくれたのかな? と思うとうれしくなります。
これは富士大時代、たまたま僕が見に行った試合での出来事。
今の時代、ここまで「走・攻・守」の3拍子がそろった選手はなかなかいない。彼の力なら絶対にレギュラーを取れるし、僕よりも数段いい選手になれると思いますよ。オリックスには幸い、西川龍馬という左打者のお手本もいる。「どうやったらここにたどり着くのだろう」。身近に見て、どう学んでいくのかで今後、麦谷がスーパースターになるのか、普通の選手で終わるのかが決まってくると思います。子どもたちに憧れられる選手を目指し、明るく元気に突き進んでもらいたいですね。
あと、最後にひとつだけ。明るさを前面に出すのはいいけど、ガッツポーズはプレーが終わってからにしてください(笑)。あいつ、一塁へ走りながらすることがあるので。(広橋 公寿)
◆広橋 公寿(ひろはし・こうじゅ)1957年1月11日、福岡県生まれ。68歳。東海大五、八幡大では投手。東芝で野手に転向し、80年オフにドラフト外で西武に入団。内外野を守れるユーティリティープレーヤーとして活躍。89年オフに中日へトレード移籍。90年オフにダイエーへトレード移籍。91年シーズンを最後に引退。95年から2003年まで西武コーチ。