パ・リーグ オリックス6X―5ロッテ=延長12回=(26日・京セラドーム大阪)

 オリックスのドラフト1位・麦谷祐介外野手(23)が、ロッテ戦でプロ初本塁打を放った。4―5の延長10回、カウント2―0から横山の直球を捉え、右翼席に同点ソロ。

麦谷が中学時代に所属した、東北楽天リトルシニアの当時の総監督・広橋公寿氏(68、現・青山東京ボーイズ監督)が、スポーツ報知に祝福メッセージを寄せた。西武などで活躍したNPBの先輩でもある恩師は、「今の時代、ここまで『走・攻・守』の3拍子がそろった選手はなかなかいない」と今後の活躍に太鼓判を押した。(取材・構成=南部 俊太)

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 彼は中学時代、今とは比べものにならないくらい非力な打者でした。当時から守備、走塁のセンスは抜群だったけど、入った時の身長が151センチで体重が38キロ。そんな体で打球が飛ぶわけないですよね(笑)。だから、これだけ大きくなって、プロの世界で活躍している姿が、当時は想像できなかったです。

 僕が指導者として、常に子どもたちに伝えるのが「心・技・体」ではなく「体・技・心」であるということ。まずは丈夫な体をつくって練習に励む。そうすることで技が磨かれ、最後に「やりきった」という心の自信がついてくるものです。彼自身、中学の時から前向きに練習する子でしたが、高校、大学と相当な努力した結果が今の体、そしてプレーにつながっているんでしょうね。僕の教えを体現してくれたのかな? と思うとうれしくなります。

 これは富士大時代、たまたま僕が見に行った試合での出来事。

彼は左中間にすごい当たりを打つと、ホームランを確信したのか、ちゃんと走っていませんでした。しかし、打球がフェンスに直撃したのを見ると、慌てて走り出した。試合後はたまらず「お前、相変わらずやな。いい加減にしろよ」とLINEをしました。僕は結構、そういうことに関しては厳しく言ってきたつもりなので。すると、「笑」の文字を入れて「すみませんでした」との返事が来た。もちろん、やっちゃダメなプレーなのですが、このようにどこか憎めない部分もまた、彼の魅力なんですよね(笑)

 今の時代、ここまで「走・攻・守」の3拍子がそろった選手はなかなかいない。彼の力なら絶対にレギュラーを取れるし、僕よりも数段いい選手になれると思いますよ。オリックスには幸い、西川龍馬という左打者のお手本もいる。「どうやったらここにたどり着くのだろう」。身近に見て、どう学んでいくのかで今後、麦谷がスーパースターになるのか、普通の選手で終わるのかが決まってくると思います。子どもたちに憧れられる選手を目指し、明るく元気に突き進んでもらいたいですね。

 あと、最後にひとつだけ。明るさを前面に出すのはいいけど、ガッツポーズはプレーが終わってからにしてください(笑)。あいつ、一塁へ走りながらすることがあるので。(広橋 公寿)

 ◆広橋 公寿(ひろはし・こうじゅ)1957年1月11日、福岡県生まれ。68歳。東海大五、八幡大では投手。東芝で野手に転向し、80年オフにドラフト外で西武に入団。内外野を守れるユーティリティープレーヤーとして活躍。89年オフに中日へトレード移籍。90年オフにダイエーへトレード移籍。91年シーズンを最後に引退。95年から2003年まで西武コーチ。

05年から12年まで楽天コーチ。13年は韓国独立リーグのチームでコーチ。14年から楽天でベースボールスクールコーチ、楽天シニア総監督、クラーク記念国際高校仙台校の女子硬式野球部ヘッドコーチ。20年からエイジェック女子硬式野球部監督で21年に全日本選手権など4冠。22年より元大リーガーで義理の息子、岩隈久志氏が創設した東京青山ボーイズで監督を務める。右投右打。

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