【オークランド近郊(米国)1日=金川誉】日本代表は、米国遠征のメキシコ代表戦(6日・オークランド)に向けトレーニングを開始した。DF長友佑都(38)=FC東京=は、FIFAランキングで日本の17位を上回る13位のメキシコ戦に向け「やっと僕の時間が来た」とレギュラー再奪取を宣言。

今月12日に39歳を迎えるベテランがレギュラーを奪う道はあるのか。日本代表担当の金川誉記者が「読み解く」。

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 強い日差しと、わずかに秋の気配も感じさせるさわやかな空気を感じながら、長友が燃えていた。米国での練習初日。ランニングなど軽めのメニューだったが、いつものように先頭を走った。強豪メキシコ戦を前に「裏で盛り上げるとか、そのフェーズは自分の中では終わり。ここからはレギュラーを奪取するというフェーズに入ってきたので」と言い切った。

 長友はここまで“裏”からチームを支えてきた。W杯アジア最終予選では全10試合ベンチ外。日本が攻撃の主導権を握る試合では、守備力を特徴とする長友を起用する理由は見当たらなかった。ただ練習で誰より声を出し続け、常に前向きなエネルギーを発する姿は、間違いなくチームの一体感を作り出していた。

 長友がベテラン枠で、W杯メンバーに入る可能性は十分にある。

しかし本人は、そんな役回りに甘んじる気は一切ない。「今の状態なら代表でしっかりプレーできると自信を持って言える。自分の中では全盛期のインテル時代の自分に戻すつもりで取り組んでいる」。イタリア強豪で活躍した10~18年の状態に戻すべく、当時に近い強度の練習で体を鍛え抜き、来年W杯に照準を合わせている。

 年齢にはあらがえない。それは現実だ。しかし今年7月の東アジアE―1選手権の中国戦で、カタールW杯以来950日ぶりに代表のピッチに立った長友は、その後も明らかに調子を上げている。森保ジャパンはDFに負傷者が続出し、左サイドは今回招集外となったFW中村敬斗の不在もあって人材不足気味。長友は「いよいよ僕のタイミングが来たな、と。相手が強ければ、強いほど僕は力を発揮できるので」と自信に満ちた声で言った。今月12日で39歳、ここからレギュラーをつかむ可能性は決して高くはない。しかしカタール後に代表から遠ざかった現実も覆し、5大会連続W杯出場に近づきつつある今、その可能性はゼロではない。

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