女優の梶芽衣子が7日、東京・国立映画アーカイブで開催中の第47回ぴあフィルムフェスティバルの特集企画でデビュー60年記念トークショーを開催した。

 1965年に高校卒業と同時に日活入りして映画「悲しき別れの歌」でデビュー。

主演シリーズ「野良猫ロック」「女囚さそり」「修羅雪姫」で知られる銀幕のスターは、芸歴60年を迎えた。オーディションではなくスカウトがきっかけでデビューしたため、「即戦力と思われて、何も教えてもらえないから、台本の読み方も分からなかった。ものすごく孤独で不安。毎日、やめたいと思って泣いていた」と振り返った。

 「青春前期 青い果実」で共演した山岡久乃さんに演技の基本を教わった。「山岡さんはおっかなくてね。でも荒っぽい中にも愛がある。『この人だ!』と思って山岡さんのところに押しかけました」。最初は「私は何かを教えたりするのは嫌いだから帰りなさい」と門前払いされたが、「信濃町のアパートに1週間、通い詰めたから、根負けしたんでしょうね。芝居について教えていただきました」。その中でも「台本の中に答えがあるから、何度も読み込みなさい」という言葉が印象に残っているという。

 60年のキャリアを振り返り「私は芝居ができなくて、どうすればいいのかと悩むところからスタートした。

だから努力と忍耐しかない。その苦労が私を作ってくれた。芝居って、すごく奥が深い。でも、こんなに素敵な仕事はない」。大事にしているのは「傲慢(ごうまん)になっちゃいけない」ということ。「私は現場でもめたことはありません。新人監督だって対等です。この役ができないと思ったら、台本を読んだ時点でお断りする。それが礼儀だと思います」と語った。

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