◆第43回ローズS・G2(9月14日、阪神競馬場・芝1800メートル)

 牡牝の3冠最終戦へ向けたトライアルで、春のクラシックホース2頭が始動の時を迎える。第43回ローズS・G2(14日、阪神=3着まで秋華賞優先出走権)は、樫の女王カムニャックが登場。

 受けて立つ。オークス馬カムニャックが2冠を狙う秋華賞を見据え、ここから始動する。栗東で約1か月乗り込み、4日には栗東・CWコースで6ハロン78秒8と自己ベストを1秒6も更新する猛時計をマーク。「1週前なのでしっかりやりましたが、動きは良かった。その前も良かったですからね」と友道調教師。秋初戦へ、抜かりのない調整が続く。

 フローラS、オークスと連勝し、3歳牝馬の頂点に立った春。しかし、友道調教師は何度も同じ言葉を絞り出していた。「新馬を勝った時のいい状態に比べると、あの頃までは…」。昨年8月、中京の新馬戦(芝2000メートル)で手綱を軽く動かす程度で3馬身半差をつける圧巻のデビューVを飾ったが、その後に状態が下降線をたどった。繊細な若い牝馬だけに一度乱れたリズムを戻すのは難しい。一戦ごとに上向いたが、その回復速度は遅かった。

 この中間は違う。オークス後は東京競馬場から直接、デビュー前に調整していた宮城県の山元トレセンへ放牧に出し、一度リセット。この“夏休み”で輝きを取り戻した。「春は体がゆがんでいるような感じだったけど、今は走るフォームが良くなって、真っすぐに走れている」。1年前の記憶と重なる走り。トレーナーの表情に明るさが戻った。

 G1馬として注目を集める始動戦。「いい感じでいけます。メイチではないけど、(出走態勢としての)全体値は高いと思う」と友道師はうなずく。前哨戦だけに仕上げに余裕はあるが、それを補って余りある回復力。本来の姿で女王の走りを披露する。(山本 武志)

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