◆ラグザスpresents 第32回WBSC U―18野球ワールドカップ ▽スーパーラウンド 日本6―2米国=延長8回タイブレーク=(11日・沖縄セルラー那覇)
スーパーラウンド(SR)初戦は、日本(1次R・A組1位)が6-2で米国(B組1位)との全勝対決を制し、首位に立った。1-1で迎えたタイブレークの延長8回に岡部飛雄馬(敦賀気比)の勝ち越し3点二塁打などで5得点。
思い込んだら-男のど根性で振り抜いた。岡部のバットが生み出した強い打球は、那覇の指笛に乗って加速し、浅めに守っていた右翼手の頭上を越えた。勢いのままに二塁を蹴って三塁を目指すが、オーバーランに気づいて慌てて戻り、間一髪セーフ。その瞬間、セルラー那覇が祝祭の空間と化した。
「真っすぐだけを待って、思いっきり打ちに行きました。米国の投手は身長も高いから、アゴが上がらないように意識してました」。延長8回タイブレークに突入し、無死満塁。ランヘルの150キロを振り抜いた。走者一掃の3点二塁打で、米国撃破を現実にした。
今大会は6試合で15打数6安打の打率4割。5打点5盗塁のラッキーボーイだ。5回2死二塁、奪われた先取点は、自らが遊ゴロを一塁へ悪送球したもの。帳消しの一打に笑顔がはじけた。
直前に伏線があった。9番の坂本慎太郎(関東第一)が2ストライクに追い込まれてからファウルで6球粘り、12球目で四球を選んだ。岡部は「坂本があれだけ粘ってくれたんで、ネクストであの球を見る時間もあった。それもあっての一打。坂本に感謝したい」と礼を述べた。
「飛雄馬」の名前の由来は野球漫画「巨人の星」の主人公。野球好きの父・烈雄さんは「本気で教えるから本気でついてこい」と早朝ランニング、河川敷での100本ノック、バッティングセンターでの1000球打ちと漫画同様に猛特訓で鍛えあげた。身長165センチと小柄だが、闘志全開で立ち向かう。
今夏の甲子園1回戦・横浜戦では「1番・投手」で先発出場したが、2回途中を4失点KO。初戦で散った。夏を終わらせた横浜の阿部葉太は今大会で主将、岡部が副将を担う。阿部が「岡部は自分のことが好きなので」と言えば、岡部も「プエルトリコ戦の前には、お昼を食べた後に阿部君から僕の部屋に来て、一緒に寝てました」と明かした。昨日の敵は今日の友。結束は固い。「日本らしく機動力を生かして、粘り強さを持って、優勝できるように頑張りたい」と岡部。いざ世界一へ。ゆけゆけ飛雄馬、ドンと行け!(加藤 弘士)
▼米国にスーパーR初勝利 日本が延長8回、タイブレークで米国に勝利。U―18W杯のタイブレーク勝利は、17年スーパーR・オーストラリア戦以来、2度目。
また、U―18W杯での高校日本代表(04年以降)の米国との対戦成績は、5勝6敗。1次R(予選R)と、スーパーR以降(2次R、決勝)に分けて出すと
ラウンド 勝敗内訳
1 次 〇〇●〇〇
スーパー ●●●●●〇
スーパーR以降で勝利は初めてだ。
◆スーパーラウンド(SR) SRは1次Rの各組3位までで争われる。進出チーム間の対戦成績が持ち越されたうえで、別組だった3チームとそれぞれ対戦。計5試合の戦績で上位2チームが決勝、続く2チームが3位決定戦に進む。
◆岡部 飛雄馬(おかべ・ひゅうま)2007年11月20日、兵庫・宝塚市生まれ。17歳。安倉小1年から安倉里ノ坊キングスで野球を始め、6年時には阪神タイガースジュニアに所属。中学では兵庫伊丹ヤングでプレー。敦賀気比では1年春からベンチ入りし、2年春、3年春夏の甲子園に出場。50メートル6秒0。165センチ、66キロ。