◆ラグザスpresents 第32回WBSC U―18野球ワールドカップ ▽決勝 米国2-0日本(14日・沖縄セルラー那覇)

 決勝は日本が0―2で米国に敗れ、9戦目で今大会初黒星。23年に続く世界一連覇はならなかった。

今夏の甲子園を制した沖縄尚学の最速150キロ左腕・末吉良丞(りょうすけ、2年)が先発し、最速158キロを誇る今秋ドラフト1位候補の石垣元気(健大高崎3年)につなぐ黄金リレーで対抗したが、打線が長身右腕・ボースウィックに3安打で完封。2大会ぶりに頂点に立った米国は、最多のキューバに並ぶ11度目の優勝。3位決定戦は台湾が韓国に3―2で勝った。

「USA」コールが鳴り響く中、歓喜に沸く米国ナインの姿を、末吉はベンチからまぶたに焼き付けた。決勝は完封負け。今大会、唯一の2年生として選出されながら、エースの重責を担った左腕は、銀メダルにも悔しさをにじませた。

 「米国の選手はみんな体が大きい中、パワーが日本人と違って、とても強かった。野球は投手が点を取られなければ負けないスポーツ。その言葉を形にできるように、日々の練習から取り組んでいこうと思います」

 琉球の誇りを応援するために、場内は1万6693人の大観衆で埋まった。誰よりも大きな声援を背に受け、粘投した。初回、2回と走者を得点圏に背負うが、緩急で打ち取り、3回は3者凡退に封じた。だが4回、1死から内野安打2本を含む3連打を浴び、降板。

3回1/3を5安打1失点。堂々の66球だった。

 2年生にとってはセンバツの重要な参考資料となる秋季大会を控えた大切な時期。だが小倉全由監督(68)は「世界一にどうしても必要」と沖縄尚学側に訴え、メンバー入りした。3年生19人とはすぐに打ち解け、互いの技術を交換した。「モチベーションの高さと、野球へのひたむきさが一番印象に残りました」。世界列強との真剣勝負とともに、学びの時間になった。

 頂点にたどりつけず、小倉監督も悔しさをかみ締めた。「自分のユニホーム姿はこれが最後」と明言し、「悔しさを負けたままで終わったら、それこそ負け。悔しさを持って強くなる。それが人生」。今後の糧とすることを求めた。

 試合直後。大はしゃぎする米国ナインはマウンド付近にペットボトルを投げ捨てたまま、ベンチに戻った。日本の選手たちは散乱するそれらを拾い集めた。「自分があの立場だったらできたかなって。偉いなと思いますね」と指揮官。最後まで世界に貫いた、誇り高き侍の姿。目指した連覇にはあと一歩届かなかったが、彼らは決して、敗者ではない。(加藤 弘士)

 ▼決勝の米国戦は4連敗 高校日本代表は決勝で米国に敗れ、準優勝。キューバ(4度=4連覇1度)、米国(2度=4連覇1度)、韓国(1度)に次ぐ、U―18ワールド杯の連覇は成らなかった。

 前回は決勝で台湾に勝って優勝したが、米国との決勝顔合わせは4度目。勝敗を出すと(82年は東都大学野球連盟1、2年生選抜)、82年●4―10、13年●2―3、15年●1―2、今年●0―2と、4連敗になった。

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