高校野球秋季静岡県大会▽2回戦 聖隷クリストファー2―0日大三島(15日・草薙球場)

 今夏の甲子園出場校の聖隷クリストファーが、新チーム初の公式戦で日大三島を下し、3回戦進出を決めた。最速147キロを誇るエース左腕の高部陸(2年)が、被安打6、12奪三振の完封劇を披露した。

 初回1死から連打を浴び一、二塁のピンチを迎えたものの、2者連続空振り三振で切り抜けた。3回には、3者連続三振を奪うなど、7回まで毎回奪三振をマーク。「前半(1、2回)は力んでしまい、自分の思うように球が行かなかったところを修正できた」と胸を張った。

 試合中には思わぬアクシデントもあった。7回直前に筧優亨(かけひ・ゆうと)捕手(2年)が、熱中症で両足をつり、浅川帆(ほろ)捕手(2年)と交代。これまで浅川にはブルペンで球を受けてもらった程度で、試合でバッテリーを組むのは初めて。「不安はあったのですが、キャッチャーが思いきって投げてこいといってきたので、投げるだけでした」と、振り返る。

 7回には2死一、二塁の危機を招いたが、ここでも三振を奪ってしのいだ。9回には、相手打線の狙いが直球だと判断してカーブ主体に切り替え、得点を許さなかった。

 今夏の甲子園では、武智遥士捕手(3年)とバッテリーを組み、初出場初勝利の歓喜を分かち合った高部。新チームでは、自慢の直球を生かす配球に、自らの考えを加えて、公式戦初出場だった2人の捕手をリードしてみせた。この日の最速は144キロで、140キロ台をコンスタントにマーク。

夏以降は走り込みに力を入れ、スタミナアップを実感した。

 秋季大会の優勝候補としての重圧に加え、新チーム初戦の緊張感が漂う中、上村敏正監督は「きょうは一番、高部が落ち着いていた」とエースの堂々たる姿をたたえた。次戦は23日、知徳と浜松学院興誠の勝者と対戦する。

 この日の得点は、2回の相手暴投によるものと、5回の江成大和左翼手(2年)の内野安打による2点のみ。チームの安打数は5だった。高部は「まだまだ自分たちの力がないと思っているので、次までに練習を重ねて力を出せるようにしたい」と決意を新たにした。

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