◆JERA セ・リーグ DeNA3―0巨人(15日・横浜)

 巨人・田中将大投手(36)の日米通算200勝達成は持ち越しとなった。DeNA戦に先発し、丸やキャベッジの好守にも助けられながら5回まで無失点。

しかし、0―0の6回に石上に右越え2点二塁打を許し、6回2失点で3敗目。試合後、阿部監督が中5日で21日の中日戦(バンテリンD)に先発させることを明言した。直接対決2連戦に連敗したチームは8月2日以来44日ぶりの3位転落。残り11試合、2位でのCS本拠地開催へ負けられない戦いが続く。

 祈りはわずかに届かなかった。惜しくもグラブの先に収まらなかった打球を見て田中将がしゃがみ込んだ。両軍先発が譲らず0―0で迎えた6回。2死一、二塁から石上にスプリットを振り抜かれ、右越えに決勝2点二塁打を許した。移籍後最長6回を投げきるも、200勝はお預けとなった。

 「もっと低めに投げきりたかった。(先発の役目を果たした?)そうは思わないです。負けているので」

 自己評価は厳しかったが、6回5安打2失点。

加入後8試合目で初、楽天時代の23年9月25日以来2年ぶりのクオリティースタート(6回以上自責3以下)をクリアした。5回2死満塁では丸が、6回先頭ではキャベッジがスーパープレー。「バックの守り、素晴らしいプレーがたくさんあった。それにもり立ててもらいながら」と感謝した。

 直球は145キロ前後ながら4回までに内野ゴロ8つ。徹底したコース勝負でバットの芯を外した。一方、ここまで5戦連続で登板中に内野手がエラー。以前は失点につながることが多かったがこの日は違った。4回、泉口の失策直後にオースティンを三ゴロ併殺。厳しく内を突いてから外のスライダーで封じ、後輩のミスをカバーした。「いい形で凡打を打たすことができた」。テンポアップも意識して5回まで69球でまとめてゲームメイクした。

 前回8月28日の広島戦は走者を置いてから踏ん張れず2回5失点KO。ファームでの2週間はセットポジションの改善に注力した。久保巡回投手コーチから教わった「右の軸足を潰さない体重移動」が無走者時のノーワインドアップではできるのにセットになると感覚が変わってできていなかった。水球を例に「体が水面の上にこないと手は自由に使えない。つまり強い球を投げられない。軸足が沈む=ズブズブ下にはまる。上半身の力が下に食われている」とコーチは指摘。セットでの投球比重をブルペンで増やし「簡単なことじゃないけど抑えるためなら」と動きを染みこませ、3回以外走者を背負いながら進化を示した。

 現状1軍の先発は山崎、戸郷、森田、横川が奮闘するが赤星、グリフィン、西舘、井上らは2軍調整中。力投したベテランを阿部監督は評価し「名古屋で次、中5(日)で行ってもらう」と21日・中日戦(バンテリンD)での起用を決めた。背番号11も「勝つためにしっかり準備するだけです」。苦しむ投手陣に光が差す90球。

ここに来て投手陣最年長の存在感が増している。(堀内 啓太)

編集部おすすめ