NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜・前8時)のヒロイン・のぶを演じている女優の今田美桜が、26日に最終回を控え、このほど取材会を行った。

 昨年9月に高知で撮影が始まり、今年8月22日にクランクアップするまで約1年間を、のぶとして走りきった。

長期間にわたる撮影を振り返り「カットがかかっても涙が止まらないことも(何度か)あった。のぶを生きられているんだなと感じました」とかみ締めながら語った。

 今田にとって、ひとりの人物の生涯を演じきるのは、なかなかない経験だった。老けメイクも初体験。「楽しかったですね。後半は70代までやるので、徐々に、段階もありながら。こうやってシワを入れるのか、シミを飛ばすのかってシンプルに技術に驚いていました。(役作りは)しぐさとか、自分のおばあちゃんを思い描きました」

 座長として心がけたことがある。「ホッとできる、帰ってきた感じがする」現場作りだ。きっかけは朝ドラ初出演作となった「おかえりモネ」(2021年、清原果耶主演)。「撮影の期間が少し空いた時に(共演者やスタッフの方々が)『おかえり』って言ってくれるのがすごくうれしかった」からだ。「撮影の合間に共演者と前室にいて、お昼ご飯を食べたり、再放送を一緒に見たり」したことは良い思い出として残っており、それを実践した。

 嵩役の北村匠海とは、これまで映画「君は月夜に光り輝く」「東京リベンジャーズ」など複数回共演していたが、夫婦役を演じたのは初めてだった。「今までで一番距離感が近い役柄でした。これまでに見てきた北村さんとは全然違う面が見られた。意外とひょうきんなんだなというのを知りました」。3姉妹を演じた河合優実、原菜乃華との思い出も振り返り「のぶが結婚する時に、最後3人で部屋でラジオ体操をするシーンは本当に寂しくなりました」と懐かしんだ。

 劇中、のぶと嵩の「お互いにない部分を認め合って尊敬し合う」「お互いを思い合う」姿に強くひかれたという。自身は現在28歳。理想のパートナー像について「(のぶと嵩のように)私が尊敬する方で、私もそう思われるように。2人とも『自分のためにより、人のために』というところが、愛が大きくてステキだなと思った」と話した。

 「あんぱん」は「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかしさん(享年94)と妻・小松暢(のぶ)さん(享年75)の夫婦がモデル。戦前・戦中・戦後と激動の時代に、2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどり着くまでの過程が描かれる。

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